![]() 方法及び組成物
专利摘要:
本発明は、ファージ粒子を含む複合体であって、(i)ポリペプチド、(ii)(i)のポリペプチドをコードする核酸、(iii)上記ポリペプチドに結合した連結化合物を含み、上記連結化合物は、少なくとも3つの異なる共有結合により上記ポリペプチドに結合している、上記複合体に関する。本発明はまた、ライブラリー、複合体を作製する方法、及び該複合体を用いたスクリーニング方法にも関する。 公开号:JP2011514803A 申请号:JP2010545546 申请日:2009-02-04 公开日:2011-05-12 发明作者:ウィンター,グレゴリー;ハイニス,クリスティアン 申请人:メディカル リサーチ カウンシル; IPC主号:C12Q1-70
专利说明:
[0001] 本発明は、ポリペプチドの修飾及び制約、特に、例えばファージディスプレイに関して、該ポリペプチドをコードする核酸との複合体における遺伝的にコード化されたポリペプチドに関する。] 背景技術 [0002] 生物学的標的に対して高度の親和性及び特異性を有する分子の作製は、化学、生物学及び製薬学において主要な課題である。特に、結合リガンドは、生物学的プロセスに介入することができる薬物の創出に重要である。選択した標的リガンドに結合するリガンドの創出は、一般に、複数の推定結合分子を作製し、該分子を結合特性について試験する方法を含む。] [0003] 抗体のような大きな生体高分子構造の単離のために、生物学的in vitro選択方法が効率的に用いられているが、こうした方法は、小分子薬物の単離には、これまであまり実用的ではなかった。生物学的in vitro選択方法は一般に、ポリペプチド、RNA又はDNAのような生体高分子に限定されている。例えば、ペプチドのような短い生体高分子も生物学的標的に結合することができるが、これらは構造的可変性の問題を有する可能性があり、体液中でタンパク質分解を被りやすくなる虞がある。加えて、短い線状ペプチドの結合親和性は弱いことが多い。遺伝的にコード化された小ペプチドライブラリーを制約するための様々な環化戦略が知られている。ファージディスプレイされるペプチドは、例えば、2つの隣接システイン残基の酸化により環化されることが知られている。mRNAでコード化される環状ペプチドライブラリーは、化学的架橋試薬で、ペプチドのN-末端アミンとリシン残基を連結することにより作製されることが知られている。この戦略は、シグナル伝達タンパク質Gαi1に結合するレドックス不感受性大環状分子の単離に用いられていた(Millward, S. W.ら、ACS Chem. Biol., 2007)。遺伝的にコード化されたポリペプチドライブラリーに非天然ビルディングブロックを組み込むことにより、ライブラリーの多様性を拡大するか、又は天然のアミノ酸が提供することができない特性を挿入する目的で用いるための様々な戦略も知られている。しかし、こうした戦略は、遺伝的にコード化された線状ポリペプチドへの限られた数の小さな有機付加物の付加を可能にしたにすぎない。例えば、Frankel, A.らは、mRNAディスプレイによりコード化された天然ポリペプチドに非天然アミノ酸を組み込んだ(Frankel, A.ら、Chem. Biol., 2003)。Jespers L.らは、ファージ上にディスプレイされる抗体レパートリーの超可変ループに蛍光レポーター分子を化学的に連結して、抗原結合についてこのレパートリーを選択した(Jespers, L.,ら、Prot. Eng., 2004)。Dwyer, M. A.らは、非天然アミノ酸を含むプロテアーゼインヒビターライブラリーの作製のために、天然の化学的連結により、ファージディスプレイされるペプチドのレパートリーに合成ペプチドを結合させた(Dwyer, M. A.ら、Chemistry & Biology, 2000)。また、有機小分子も、mRNAでコード化されるコンビナトリアルペプチドレパートリーに連結されている。Roberts, R.W.の研究チームは、黄色ブドウ球菌ペニシリン結合タンパク質2aのインヒビターを選択するために、ペニシリン部分をmRNAディスプレイペプチドライブラリーの固定位置に結合させた(Li, S.及びRoberts, W. R., Chem. & Biol., 2003)。] [0004] より多様な分子アーキテクチャー(例えば、分枝分子)を有し、しかも、非天然ビルディングブロックから形成されるコンビナトリアル化合物ライブラリーに対しin vitro選択を適用するために、様々な方法論が提案されている。生物学的in vitro選択方法とは違い、これらの方法論では、DNAタグを有機小分子に結合させるのに化学的戦略を用いる。Brenner S.及びLerner R. A.は、ビーズ上のユニークなヌクレオチド配列で化学物質の大きなライブラリーの個々のメンバーをコードするために、パラレルコンビナトリアル合成方法を提案した(Brenner, S.及びLerner, R. A., PNAS, 1992)。化学物質を標的に結合させた後、ヌクレオチドタグの配列決定により遺伝コードをデコードする。Liu D. R.らは、有機分子の小コレクションをDNAオリゴヌクレオチドにコンジュゲートし、様々な抗原で親和性選択を実施した(Doyon, J. B.ら、JACS, 2003)。Neri D.らは、2本のDNA鎖のハイブリダイゼーションによる、DNAにコードされるさらに小さい化学サブライブラリーの自己集合によって、分子対の大きなレパートリーを作製した(Melkko, S.ら、Nature Biotechnol., 2004)。この方法論は、小分子リガンドの親和性成熟に用いられ、成功している。Halpin D. R.及びHarris P. B.は、コンビナトリアル化学ライブラリーのin vitro進化のための戦略を開発したが、これは、選択した化合物の増幅により、複数の選択ラウンドを実施することを含む(Halpin, D. R.及びHarbury, P. B.,PLOS Biology, 2004)。Woiwode T. F.らは、該化学的構造が何であるかがファージのゲノムにより明示されるように、合成化合物のライブラリーをバクテリオファージ粒子のコートタンパク質に結合させた(Woiwode, T. F., Chem. & Biol., 2003)。DNA明示化学化合物を用いる上記戦略はすべて、モデル実験では効率的であることが証明され、そのうちのいくつかは、新規の小分子バインダーをもたらしてもいる。しかし、大きな化合物ライブラリーのコード化及び選択した化合物の増幅は、生物学的選択系における同等の方法より、はるかに多くの労力を要することが明らかになっている。] [0005] Jespersら(2004 Protein engineering design and selection, 第17巻、第10号、ページ709〜713)は、化学合成抗体ライブラリーからの光学バイオセンサーの選択について記載している。この文献は、ファージ上にディスプレイされる抗体レパートリーの超可変ループを介した蛍光レポーター分子の結合に関する。特に、上記文献は、合成抗体レパートリーの超可変ループ(相補性決定領域、すなわちCDR)への蛍光レポーター分子の連結について記載している。蛍光レポーター分子は、単一共有結合により、超可変ループにおける人工的に導入したシステイン残基に連結させる。1対1結合を実施する。ファージ粒子上のシステイン残基をDTTで還元し、当分野で周知のように、慣用のポリエチレングリコール(PEG)沈殿により過剰の還元剤を除去した。] [0006] Dowyerらは、生合成ファージディスプレイを開示し、化学及び遺伝的多様性を併せ持つ新規のタンパク質工学ツールについて記載している。Dwyerら(Chem Biol 2000、第7巻、第4号、ページ263-274)は、非天然アミノ酸を有する合成ペプチドと、目的のタンパク質の主要構造残基を含む合成ペプチドのライブラリーとの化学的連結について記載している。これを実施する理由は、各々が、非天然アミノ酸を組み込んだ定常セグメントを有する多様なプロテアーゼ配列を作製するためであった。非天然アミノ酸を含む合成ペプチドを、天然の化学的連結により単純に結合することにより、2つのペプチド断片を互いに連結させた。連結化合物は一切開示されていない。得られたポリペプチドの制約又は構造的制約は全く達成されなかった。特定の部分とポリペプチド鎖の共有結合も一切開示されていない。] [0007] すでに様々な研究チームがシステイン残基を含むポリペプチドを合成分子構造に結合している(Kemp, D. S.及びMcNamara, P. E., J. Org. Chem, 1985:Timmerman, P.ら、ChemBioChem, 2005)。Meloenらは、タンパク質表面の構造模倣のための合成スカフォールト上への複数のペプチドループの高速かつ定量環化のためにトリス(ブロモメチル)ベンゼン及びその関連分子を使用した(Timmerman, P.ら、ChemBioChem, 2005)。候補薬化合物の作製のための方法であって、該化合物が、例えば、トリス(ブロモメチル)ベンゼンのような分子スカフォールドにシステイン含有ポリペプチドを連結することにより作製される方法は、WO 2004/077062及びWO 2006/078161に開示されている。] [0008] WO 2004/077062及びWO 2006/078161に記載される方法は、例えばスクリーニング工程において個々の化合物をサンプリングすることに基づくものである。個々の化合物又は化合物の小セットのスクリーニングは時間がかかり、多数の化合物を分析する場合には高価になる可能性がある。スクリーニングアッセイでアッセイすることができる化合物の数は一般に、数千以下である。さらに、システイン含有ペプチドをハロメチル含有スカフォールド(例えば、トリス(ブロモメチル)ベンゼンなど)に結合するための、WO 2004/077062に記載される反応条件は、遺伝的にコード化されたシステイン含有ペプチドを修飾するのに適していない。] [0009] WO 2004/077062は、候補薬化合物を選択する方法を開示している。特に、上記文献は、第1反応基及び第2反応基を含む様々なスカフォールド分子、並びに該スカフォールドを別の分子と接触させて、連結反応において上記スカフォールドと別の分子との間に少なくとも2つの連結を形成するステップを開示している。この方法には多くの制限がある。第一に、これは、合成ペプチドの使用、及び個別容器におけるin vitro化学反応に基づいている。そのため、多大な労力を要する。上記方法を自動化する機会、又は多くの独立した反応を並行して実施することにより、各変異体を手で作製せずに多数のペプチド変異体のスクリーニングに該方法を適用する機会は全くない。上記文献には遺伝的にコード化された多様性の記述がなく、また、勿論、遺伝的にコード化されたファージライブラリーへの適用の記述もない。実際に、上記文献に開示される反応条件は、ファージ粒子上に開示される反応を実施することが困難又は不可能であることを示している。] [0010] WO 2006/078161は、結合化合物、免疫原性化合物及びペプチド模倣物を開示している。上記文献は、既存のタンパク質から得られたペプチドの様々なコレクションの人工的合成を開示している。次に、こうしたペプチドを、コンビナトリアルライブラリーを作製するために導入された、いくつかのアミノ酸改変を有する定常合成ペプチドと結合させる。化学的連結を介して上記多様性を導入して、様々なアミノ酸改変を特徴とするペプチドを分離することにより、所望の結合活性を見出す機会の増加が達成される。上記文献の図7は、様々なループペプチド構築物の合成の概略図を示す。上記文献には、遺伝的にコード化されたペプチドライブラリーの開示は一切ない。また、上記文献には、ファージディスプレイ方法の使用の開示もない。上記文献は、ファージディスプレイと適合しないと考えられる方法を開示している。例えば、上記文献に示される化学では、おそらくファージコートと反応する連結分子が形成されるであろう。該連結分子はファージ粒子と架橋する危険性がある。ファージ粒子は、記載の化学に付されると、不活性化される(例えばその感染力を失う)可能性が高い。上記文献は、独立した化学コンジュゲーション反応における様々な合成ペプチドの操作に焦点が絞られいる。] 図7 [0011] Millwardら(2007 Chemical Biology、第2巻、第9号、ページ625-634)は、親和性のように、タンパク質表面を抗体と結合させる環状ペプチドの設計を開示している。上記文献は、遺伝的にコード化されたライブラリーから得られる様々なペプチドの環化を開示している。ポリペプチドは、該ポリペプチドにおける化学架橋剤とN-末端アミン及びリシンのアミンとの反応により環化される。上記文献化学では、遺伝的にコード化されたライブラリーは、mRNAディスプレイライブラリーである。上記文献は、得られたポリペプチドといずれの連結化合物の結合も開示していない。上記文献は、レドックス不感受性環化ペプチドの作製に関連している。上記文献に開示される化学は、ポリペプチドにおいて達成される化学架橋剤とN-末端アミン及びリシンのアミンとの反応による環化である。環化反応は、50ミリモルのリン酸バッファー(pH 8)中で、DSG(DMF中ml当たり1 mg)の添加により実施される。多くても、上記文献が開示しているのは、環状ペプチドの作製を目的とする、架橋部分を介したポリペプチド鎖の2つの部分の架橋に過ぎない。] [0012] 米国特許出願公開2003/0235852は、非天然アミノ酸残基を有するペプチドを含む核酸−ペプチドディスプレイライブラリー、及びペプチド修飾物質を用いて、上記ライブラリーを作製する方法を開示している。換言すれば、上記文献は、非天然アミノ酸又はアミノ酸のいずれかを含む、遺伝的にコード化されたペプチドライブラリーであって、非天然ビルディングブロック(例えばペニシリン)を、翻訳後に、化学反応において結合させる、上記ペプチドライブラリーを開示している。上記文献は、翻訳されたペプチドと、該ペプチドをコードする核酸の公知の結合方法に焦点が絞られている。上記文献が取り組む別の課題は、どのようにして非天然アミノ酸を該ペプチドに組み込むかである。これは、当分野で周知のように、サプレッサーtRNAを使用して、アンバー/オーカー/オパールコドンに応答して非天然アミノ酸を組み込むことにより主として達成される。その他の副次的実施形態では、非天然アミノ酸は、「ペプチド修飾物質」を用いた翻訳ペプチドの処理により、翻訳後に創出される。上記試薬は、一般に、既存のアミノ酸残基を改変して、これを非天然アミノ酸残基に変換する、あるいは、これを別の化学部分との結合に対して機能的に反応性にする、又は受容性にすることを目的とするものである。具体的には、上記文献は、目的のポリペプチドにおけるシステイン残基と、βラクタム抗生物質の6-ブロモアセチルペニシラン酸との翻訳後コンジュゲーションを教示している。これにより、システイン残基側鎖との単結合を介した、上記ペニシリン類似体と目的のポリペプチドとのコンジュゲーションが達成される。ポリペプチドに連結させる分子の多重結合は全く開示されていない。ポリペプチドの構造的制約も一切記載されていない。また、上記文献に開示される方法では、ペプチドループ又はその他の複合体3次構造は形成されず、従って、この方法は、単純に、単結合を介してポリペプチドに別の単一分子群を結合する方法にすぎない。上記文献では、ポリペプチドに修飾を実施するために、慣用的コンジュゲーション化学が用いられている。] 課題を解決するための手段 [0013] 本発明は、有利なことに、遺伝的にコード化された多様性、特に遺伝的にコード化されたポリペプチドライブラリーと、化学的修飾及び構造的制約の組合せを可能にする。] [0014] さらに、本明細書に開示される方法は、少なくとも3つの共有結合により連結化合物とポリペプチド分子の連結を初めて達成する。これは、ポリペプチドの構造的制約、特に、ポリペプチドの少なくとも2つのセグメントの互いに対する構造的制約という利点をもたらす。対照的に、従来の架橋方法、すなわち、2つの共有結合のみを形成する連結物質の使用では、ポリペプチドの単一セグメントしか制約しない。] [0015] 本発明の利点はこれらの技術的特徴から生じるものであるが、例えばその三重結合構造により、本発明のコンジュゲート分子は2つ以上のペプチドループを有し、これらループは標的と相互作用することができる。複数の結合ループによって、単一ペプチドループのみを有する分子より高い結合親和性を得ることができる。] [0016] さらに、標的との相互作用のための2つ以上の結合ループを含む本発明の1分子の相互作用表面は、標的との単一ペプチドループしか含まない1分子の表面より広い。結合表面が広い方が、改善された結合親和性を提供することができ、及び/又は改善された特異性も提供することができる。] [0017] 従って、一態様では、本発明は、 (i)ポリペプチド、 (ii)(i)のポリペプチドをコードする核酸、 (iii)上記ポリペプチドに結合した連結化合物 を含み、上記連結化合物は、少なくとも3つの異なる共有結合により上記ポリペプチドに結合している複合体を提供する。] [0018] さらに具体的には、本発明は、ファージ粒子を含む複合体であって、該ファージ粒子が、 (i)ポリペプチド、 (ii)(i)のポリペプチドをコードする核酸、 (iii)上記ポリペプチドに結合した連結化合物 を含み、上記連結化合物は、少なくとも3つの異なる共有結合により上記ポリペプチドに結合している、上記複合体を提供する。] [0019] 共有結合は、好適には、各々が、連結化合物とポリペプチドの一部同士の個別の結合であるという意味で、異なる共有結合である。例えば、ポリペプチドと連結化合物同士の単架橋で、単架橋が3つの共有結合から構成される(例:連結化合物-x-y-ポリペプチド;尚、"-"は共有結合を表す)ものは、少なくとも3つの異なる共有結合を含むとみなさない。というのは、これらの3つの結合は、連結化合物から標的ポリペプチドまでの3つの個別の架橋又は連結ではないからである。重視すべき原則は、連結化合物/分子コアとポリペプチドが少なくとも3つの個別の共有架橋結合により結合していることである。] [0020] 好適には、少なくとも3つの共有結合の各々は、ポリペプチドの個別のアミノ酸残基と一緒に形成される。換言すれば、個別のアミノ酸残基は、好適には個々の又は異なるアミノ酸残基であり、1以上の結合を単一種又は単一型のアミノ酸残基と一緒に形成してもよく、例えば、結合の2つは各々、システイン残基と一緒に形成されたものでもよいが、好適には2つのシステイン残基は個別のシステイン残基である。] [0021] 前述した複合体の連結化合物−ポリペプチド部分は、「コンジュゲート」と呼ばれることもある。いくつかの実施形態では、コンジュゲート(すなわち、本発明の複合体に含まれるものに対応するポリペプチド-連結化合物部分)を個別に合成してもよい。この実施形態では、コンジュゲートは核酸と複合体形成しなくてもよい。これについては、以下にさらに詳しく説明する。] [0022] 好適には、「コード化(コード)する」は、当分野において一般的意味を有する。すなわち、ヌクレオチド配列をポリペプチド配列に変換するためのユニバーサルなトリプレットコードの意味でコードすることを指す。従来の技術では、「コードする」は、例えばユニークなヌクレオチド配列を用いて、1分子をタグ標識する場合、「タグ標識する」又は「デコンボリューションする(deconvoluting)」意味で用いられていたようであり、ヌクレオチド配列がわかれば「デコードする」ことができる、すなわち、該構造に対して生物学的関係を持つことさえなく、どのタグ標識部分が存在するかをユーザーは知ることができる。しかし、本発明では、「コードする」及び「デコードする」は、伝統的な一般的意味で用いられ、ヌクレオチド配列からアミノ酸配列への翻訳の意味でコードすることを指す。] [0023] 好適には前記連結化合物は有機分子を含む。好適には該連結化合物は、有機小分子を含む。] [0024] 好適には前記共有結合は、連結化合物とポリペプチドのアミノ酸残基との間で形成される。] [0025] 好適には前記ポリペプチドは、システイン残基を含み、好適には連結化合物とポリペプチドの結合のための3つの異なる共有結合の少なくとも1つは、上記システイン残基との結合を含む。] [0026] 好適には前記連結化合物は、それがポリペプチドに結合する共有結合の数に対応する分子対称を有する。] [0027] 好適には前記連結化合物は、3回分子対称を有し、該連結化合物は、3つの共有結合により前記ポリペプチドに結合している。] [0028] 好適には前記連結化合物は、構造的に剛性の化学基を含む。] [0029] 好適には前記連結化合物は、トリス-(ブロモメチル)ベンゼン(TBMB)を含む。] [0030] 別の態様では、本発明は、前述の複合体に関する。] [0031] 好適には前記ポリペプチドは、mRNAディスプレイされるポリペプチドである。] [0032] 好適には前記ポリペプチドは、ファージ粒子に含まれる。] [0033] 核酸は、当分野におけるその一般的意味を有し、DNA、RNA又は好適な別の任意の核酸を含みうる。核酸としては、オリゴヌクレオチド若しくはファージゲノム又は当業者には周知の他の好適な核酸の例がある。] [0034] 好適には前記核酸は、ファージ粒子に含まれる。] [0035] 別の態様では、本発明は、前述のように、少なくとも2つの異なる複合体を含む、遺伝的にコード化されたポリペプチドライブラリーに関する。] [0036] 別の態様では、本発明は、複合体を作製する方法であって、以下のステップ: (i)ポリペプチドを用意するステップ、 (ii)連結化合物を用意するステップ、 (iii)上記連結化合物とポリペプチドとの間での少なくとも3つの共有結合の形成により、上記連結化合物を上記ポリペプチドに結合させるステップ を含む、上記方法に関する。] [0037] 好適には前記ポリペプチドの反応基を還元し、好適にはステップ(iii)の前に、還元反応基を含むポリペプチドを濾過により精製する。好適には、前記反応基がシステインを含む場合、該反応基を還元する。尚、この実施形態では、精製は、例えば濾過による、還元剤からの精製である。] [0038] 好適には濾過精製ステップの後、前記連結化合物との結合のために、脱気バッファー中、キレート剤の存在下でのインキュベーションにより、前記ポリペプチドを還元状態に維持する。] [0039] 好適にはステップ(iii)は、アセトニトリルを含む水性バッファー中、pH 8で、前記ポリペプチドと連結化合物を一緒に30℃でインキュベートすることを含む。] [0040] 好適には前記ポリペプチドはファージ粒子に含まれる。] [0041] 好適には前記連結化合物は、トリス-(ブロモメチル)ベンゼン(TBMB)を含む。] [0042] 好適には前記トリス-(ブロモメチル)ベンゼンは、10μmで存在する。] [0043] 好適には前記トリス-(ブロモメチル)ベンゼンは、10μmで存在し、前記キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)であり、前記アセトニトリルは、20%で存在し、また、前記インキュベーションステップ(iii)は、1時間にわたり実施する。] [0044] 好適には前記方法は、ポリペプチド鎖の1以上の結合を切断するさらなるステップ(iv)を含む。これは、ポリペプチド鎖を修飾する利点を有する。例えば、上記ステップは、例えば前記ポリペプチドと連結化合物との結合に挟まれたポリペプチド鎖に切断を実施すれば、単一連結化合物に結合する複数のポリペプチドが生成されるという利点を有するであろう。好適には前記切断ステップは、前記ポリペプチドをプロテアーゼに接触させることを含む。] [0045] 別の実施形態では、本発明は、前述した方法により得られる複合体に関する。] [0046] 別の態様では、本発明は、リガンドに結合することができる、前記請求項のいずれかに記載の複合体を同定する方法であって、以下のステップ: (i)前述の複合体を用意するステップ、 (ii)上記複合体をリガンドと接触させるステップ、 (iii)上記リガンドと結合する複合体を選択するステップ を含む、上記方法に関する。] [0047] こうした選択方法は、いずれの好適な形式で実施してもよい。好適にはリガンドを固定化する。続いて複合体を固定化リガンドと接触させる。次に、非結合複合体を洗い流す。このようにして、固定化リガンドに結合する複合体を濃縮又は選択する。一実施形態では、複合体は、リガンドの放出、すなわち、複合体−リガンド部分を放出又は溶離することにより、回収することができる。しかし、固定化リガンドからの溶離(分離)により複合体を回収するのが好適である。この実施形態では、溶離した複合体は、溶離ステップにおいて、もはやリガンドに結合しない。] [0048] 複合体、又は該複合体のポリペプチド、又は該複合体のポリペプチド−連結化合物コンジュゲートは、他の環境においても有用となりうる。例えば、これらは、小分子薬などの薬物の設計のためのベースとして有用であり、あるいはCDR若しくは結合部分(例えば、結合パートナーのタグ標識若しくは検出のための)として、又は相互作用の詳細な知識を活用することができる他の用途にも有用となりうる。] [0049] 別の態様では、本発明は、前記複合体の核酸の配列を決定するステップをさらに含む、前述の方法に関する。] [0050] 別の態様では、本発明は、前記リガンドに結合することができるものとして単離されるある量の複合体を製造するステップをさらに含む、前述の方法に関する。] [0051] 別の態様では、本発明は、前記リガンドに結合することができるものとして単離される複合体に含まれるある量のポリペプチド−連結化合物部分を製造するステップをさらに含む、前述の方法に関する。この実施形態では、ポリペプチド−連結化合物部分は、核酸の非存在下で有利に合成することができる。] [0052] 別の態様では、本発明は、本発明の方法により単離又は同定されるある量のポリペプチドを製造するステップをさらに含み、該製造ステップが、上記連結化合物をポリペプチドに結合させることを含み、上記ポリペプチドは、組換えにより発現されるか又は化学的に合成されたものである、前述の方法に関する。別の実施形態では、本発明は、本発明の方法により単離又は同定されるある量のポリペプチドを製造するステップをさらに含み、該製造ステップが、連結化合物を上記ポリペプチドに結合させることを含み、上記連結化合物は、少なくとも3つの共有結合により上記ポリペプチドに結合する限り、該ポリペプチドの単離又は同定中に結合した連結化合物とは異なるものであってもよく、上記ポリペプチドは、組換えにより発現されるか又は化学的に合成されたものである、前述の方法に関する。] [0053] 別の態様では、本発明は、 (i)少なくとも2つのポリペプチド分子、及び (ii)少なくとも1つの連結化合物分子 を含むコンジュゲートであって、上記少なくとも2つのポリペプチド分子の各々が、少なくとも1つの共有結合により、上記連結化合物分子に結合している、上記コンジュゲートに関する。好適には上記連結化合物は、合計少なくとも3つの異なる共有結合により少なくとも2つのポリペプチド分子に結合している。] [0054] 別の態様では、本発明は、前記コンジュゲートが少なくとも3つのポリペプチド分子を含み、少なくとも3つのポリペプチド分子の各々が、少なくとも1つの共有結合により、上記連結化合物分子に結合している、前述のコンジュゲートに関する。好適には前記連結化合物は、トリス-(ブロモメチル)ベンゼン(TBMB)を含む。] [0055] 別の態様では、本発明は、ACSDRFRNCPLWSGTCG、ACSTERRYCPIEIFPCG、ACAPWRTACYEDLMWCG、ACGTGEGRCRVNWTPCG、及びACSDRFRNCPADEALCGからなる群より選択されるアミノ酸配列を含むヒト血漿カリクレインインヒビターに関する。] 図面の簡単な説明 [0056] ファージにコードされるコンビナトリアル小化学ライブラリーの作製を示す図である。3つのシステイン残基を有する、ファージにコードされるペプチドを求核置換反応で三官能価化合物トリス-(ブロモメチル)ベンゼンに結合させる。得られた化学物質は、酵素反応によりさらに修飾してもよい。 ファージディスプレイされるペプチドをトリス-(ブロモメチル)ベンゼン(TBMB)に連結するための反応条件の評価を示す図である。(A)質量分析法により決定される、 20 mM NH4HCO3、5 mMEDTA(pH 8)、20%ACN中、10μM TBMBと30℃で1時間の反応前及び反応後のGCGSGCGSGCG-D1-D2融合タンパク質の分子量。反応及び非反応ペプチド融合タンパク質の質量差は小分子コアメシチレンの質量に対応する。(C)還元した後、20 mM NH4HCO3、5 mM EDTA(pH 8)、20%ACN中、様々な濃度のTBMBで、30℃で1時間処理したファージの力価(形質導入単位)。fdg3p0ss21(黒)及びライブラリー1(白)由来のファージの力価を示す。 選択したクローンのファージライブラリー設計及び配列を示す図である。(A)ライブラリー1のクローンにより発現されるペプチド融合タンパク質のアミノ酸配列。大腸菌プロテアーゼによるタンパク質の分泌時に、N-末端アラニン、3つのシステインにより挟まれた2つのランダム6-アミノ酸配列、及び該ペプチドを遺伝子-3-タンパク質に連結するGly-Gly-Ser-Glyリンカーを含むペプチドを残して、リーダー配列を除去する。(B及びC)ヒト血漿カリクレイン(B)及びカテプシンG(C)で選択したクローンのアミノ酸配列。TBMB修飾ペプチド-D1-D2融合タンパク質の阻害活性を示す。配列類似性を各色でハイライト表示する。 ヒト血漿カリクレインインヒビターの親和性成熟を示す図である。(A)ライブラリー2、3及び4の設計。各ライブラリーにおいて、ペプチドループの1つは、第1選択で同定した共通モチーフの配列を有し、他方は6個のランダムアミノ酸を含む。(B)ヒト血漿カリクレインで選択したクローンのアミノ酸配列。クローンは全て、ライブラリー2に由来する。TBMB修飾ペプチド-D1-D2融合タンパク質の阻害活性を示す。各色で第2結合ループにおける配列類似性をハイライト表示する。 TBMB修飾合成ペプチドによるヒト血漿カリクレインの阻害を示す。阻害活性は、様々なインヒビター濃度の活性比(阻害率/非阻害率)として表す。 「ソーセージ状」の構造として表すTBMB修飾ペプチドPK15の代表的NMR溶液構造を示す図である。ペプチドループを青色(ループ1)及び緑色(ループ2)で示す。ペプチドループ中及び末端のアミノ酸のα炭素原子を球体として表す。 1又は2つのシステインを含むペプチドと三官能価化合物TBMBの化学反応を示す図である。(A)2つのシステイン残基を含むペプチド融合タンパク質とTBMBの妥当な反応メカニズム。(B)TBMBとの反応前及び反応後の、2つのシステインを含むペプチド融合タンパク質の質量スペクトル。(C)1つのシステイン残基を含むペプチド融合タンパク質とTBMBの妥当な反応メカニズム。(D)TBMBとの反応前及び反応後の、1つのシステイン残基を含むペプチド融合タンパク質の質量スペクトル。 アプロチニン及びTBMB修飾ペプチドPK15によるヒト血漿中の接触活性化の阻害を示す図である。アクチンにより誘発されるトロンビン産生に対するアプロチニン(A)及びTBMB修飾ペプチドPK15(B)の作用。両インヒビターは、対照サンプルと比較してタイムラグの用量依存的延長を引き起こす。(C)XIIa因子及び血漿カリクレインの活性の合計を、様々な濃度のインヒビターで処置した3人のドナーのヒト血漿における比色基質H-D-Pro-Phe-Arg-pNAで測定した。接触活性化は、カオリンの添加により開始した。平均値及び標準的偏差を示す。 (a)ファージにコードされるコンビナトリアル小化学ライブラリーの作製。3つのシステイン残基を含む、ファージにコードされるペプチドを、求核置換反応で三官能価化合物トリス-(ブロモメチル)ベンゼンに結合させる。得られた化学物質は、任意で酵素反応によりさらに修飾することができる。(b)ファージディスプレイにより単離した大環状血漿カリクレインインヒビター(P15)の化学構造。 ファージディスプレイされるペプチドとトリス-(ブロモメチル)ベンゼン(TBMB)との連結のための反応条件の評価を示す図である。(a)質量分析法により決定した、20 mM NH4HCO3、5 mM EDTA(pH 8)、20%ACN中、10μM TBMBと30℃で1時間の反応前及び反応後のGCGSGCGSGCG-D1-D2融合タンパク質の分子量。反応及び非反応ペプチド融合タンパク質の質量差は、小分子コアメシチレンの質量に対応する。(b)還元後、20 mM NH4HCO3、5 mM EDTA(pH 8)、20%ACN中、様々な濃度のTBMBで、30℃で1時間処理したファージの力価(形質導入単位)。fdg3p0ss21(黒)及びライブラリー1(白)由来のファージの力価を示す。 選択したクローンのファージライブラリー設計及び配列を示す図である。(a)ライブラリー1のクローンにより発現されるペプチド融合タンパク質のアミノ酸配列。大腸菌プロテアーゼによるタンパク質の分泌時に、N-末端アラニン、3つのシステインにより挟まれた2つのランダム6-アミノ酸配列、及び該ペプチドを遺伝子-3-タンパク質に連結するGly-Gly-Ser-Glyリンカーを含むペプチドを残して、リーダー配列を除去する。(b及びc)ヒト血漿カリクレイン(b)及びカテプシンG(c)で選択したアミノ酸配列。(c)TBMB修飾ペプチド-D1-D2融合タンパク質の阻害活性を示す。配列類似性を各色でハイライト表示する。 ヒト血漿カリクレインインヒビターの親和性成熟を示す図である。(a)ライブラリー2、3及び4の設計。各ライブラリーにおいて、ペプチドループの1つは、第1選択で同定した共通モチーフの配列を有し、他方は6個のランダムアミノ酸を含む。(b)ヒト血漿カリクレインで選択したクローンのアミノ酸配列。クローンは全て、ライブラリー2に由来する。TBMB修飾ペプチド-D1-D2融合タンパク質の阻害活性を示す。各色で第2結合ループにおける配列類似性をハイライト表示する。 TBMB修飾合成ペプチドによるヒト血漿カリクレインの阻害を示す。阻害活性は、様々なインヒビター濃度の活性比(阻害率/非阻害率)として表す。クローンPK2、PK4、PK6及びPK13は、ライブラリー1を用いたファージ選択において単離した。PK15はライブラリー2に由来し、親和性成熟インヒビターである。 TBMB修飾ペプチドPK15のNMR溶液構造を示す図である。ペプチドループを黄色(ループ1)及びオレンジ色(ループ2)で示す。メシチレンコア、3つのシステイン残基並びに末端アラニン(N-末端)及びグリシン(C-末端)を灰色で示す。ペプチドの骨格原子はソーセージ状に表し、アミノ酸の副鎖はステック状に表す。 1又は2つのシステイン残基を含むペプチドと三官能価化合物TBMBの化学反応を示す図である。(a)2つのシステイン残基を含むペプチド融合タンパク質とTBMBの妥当な反応メカニズム。(b)TBMBとの反応前及び反応後の、2つのシステインを含むペプチド融合タンパク質の質量スペクトル。(c)1つのシステイン残基及び1つのリシン残基を含むペプチド融合タンパク質とTBMBの妥当な反応メカニズム。(d)TBMBとの反応前及び反応後の、1つのシステイン残基及び1つのリシン残基を含むペプチド融合タンパク質の質量スペクトル。 アプロチニン又はTBMB修飾ペプチドPK15を用いた血漿カリクレインの阻害によるヒト血漿中のXII因子活性化の抑制を示す図である。3人のドナーのヒト血漿における内因性凝固経路をカオリンの添加により開始した。カオリンの陰荷電表面が少量のXII因子を活性化する。プレカリクレインは、活性化されたXII(XIIa)因子によりカリクレインに変換され、カリクレインが正のフィードバックを及ぼすことにより、さらに多くのXII因子を活性化する。XIIa因子の活性を比色基質H-D-Pro-Phe-Arg-pNAで測定した。XIIa因子活性の平均値及び標準的偏差を示す。] [0057] 発明の詳細な説明 本発明は、新規の特徴及び付随する利点をもたらすものであり、こうした特徴及び利点は、コア構造を含む、遺伝的にコード化された分子の作製に関してさらに詳細に説明することができる。特に、本発明は、公知のペプチド環化技法では達成されない構造的制約を提供する。さらに、公知の系、例えばRobertsによるもの(同上)における架橋剤は、本発明の中心核/連結化合物の特徴を備えていない。公知の系では、架橋剤は、レドックス不感受性環状ペプチドを作製する目的で、単純にジスルフィド結合の代わりに用いられていた。多数の付加物、例えば、本明細書に教示するような三重共有結合連結化合物−ポリペプチド複合体を含む中心コアの概念についての記述又は示唆は一切ない。実際に、本発明では、ポリペプチドは少なくとも3つの共有結合によりコア構造物に連結しており、これにより公知の系と比較して基本的な構造上の違いがもたらされる。3つ以上の結合による、コア構造物(連結化合物)と遺伝的コード化ポリペプチドとの連結は、これまでに示されたことのない複雑な反応である。] [0058] さらに、少なくとも3つの共有結合によるポリペプチドと連結化合物の連結によって、複数の異なる生成物を取得することができる。これは、選択プロセス及びデコード工程において問題を引き起こす可能性がある。しかし、本発明によれば、3つの反応基と、好ましくは3回回転対称を有する連結化合物を用いる解決策が提供され、この組合せは、単一生成物をもたらすという利点を有する。勿論、当業者である読者は、ある不明瞭な状況において、最も顕著には3つの同一反応基を有する正四面体型分子(これも3回回転対称を有するが、2つの立体異性体をもたらす)の例において、3回回転対称が複数の生成物をもたらすであろうことは理解されよう。それでも、理解を容易にするため、単一生成物の形成に対するこうした理論上の例外もありうることは認めた上で、本発明によれば、好適なことに、3回回転対称を有する連結化合物は単一生成物を提供する。前述した稀な状況では、正四面体型分子形成を回避し、これにより、単一生成物のみの形成を維持するように、ポリペプチドを選択するのが好適である。] [0059] 本明細書に記載する方法及び組成物に用いられる連結化合物は、本発明の連結化合物が、標的ポリペプチドとの少なくとも3つの共有結合を形成することができる少なくとも3つの反応基を有する基本的要件において、公知の2価架橋剤(例えば、Millwardら(同上)が用いたもの)とは異なる。この特徴は本発明に多数の技術上の利益をもたらす。第一に、少なくとも3つの共有結合により連結化合物をポリペプチドに結合させることにより、少なくとも2つのポリペプチドループを形成する。これらのループは、連結化合物とポリペプチドの第1結合と第2結合の間、及び第2結合と第3結合の間に形成される。Millwardらにより記載された公知のリンカーは、ペプチドの2つの官能基を連結することができるだけで、2つ以上の制約ペプチドループを形成することはできない。] [0060] 連結化合物−ポリペプチド結合の利点 連結化合物との3以上の連結を有する本発明の分子を、他の分子、例えば2つの連結のみを有する分子から区別するいくつかの特性がある。それらのいくつかを以下に説明する。] [0061] 第一に、連結化合物との2つの連結を有する分子は、線状ペプチドの可変末端を互いに連結することにより制約されることは理解されよう。これはまた、連結化合物との3つ以上の共有結合を有する本発明の分子についても言えることである。しかし、連結化合物との3つ以上の共有結合を有する本発明の分子の立体構造は、2つのさらに別の作用によっても制約されており、これは、2つの連結のみを有する分子には当てはまらない: i)少なくとも3つの共有結合により連結化合物に結合したポリペプチドは、少なくとも2つの制約ポリペプチドループを含み、 ii)ポリペプチドループは、非共有結合相互反応により互いに相互作用して、別の制約を生み出すことができ、 iii)ループの各々は、他のループが占有することができない空間を占有し、これがさらにその構造的可変性を制約する。] [0062] これらの点について説明するために、連結化合物に点A及び点Cでアンカーされたポリペプチドが取る可能性のある経路を推測することができる。同じ連結化合物に対し、点Aと点Cの間にアンカー点Bを導入すると、ポリペプチドが取る可能性のある経路はさらに制限され、従って、その構造エントロピーも制限される。リガンドへのペプチドの結合は、構造エントロピー損失を必要とする(しかも、ペプチドが、リガンドに相補的な立体構造を取ることができるという条件で)ため、中間点Bで制約されたペプチドABCとリガンド同士の結合親和性は、ペプチドACより高いと予想される。従って、本発明の制約分子を用いて、従来技術で可能であったものより高い結合親和性を達成することが可能である。] [0063] これらのキーポイントに加えて、ポリペプチドと連結化合物との間の3つ以上の共有結合のさらなる利点について以下に詳述する。] [0064] 本発明の分子は、2つ以上の構造的に制約されたペプチドループの相互作用により標的に結合することができる。結合ループが多いほど、高い親和性及び特異性を取得することができる。抗体でも同等の作用が起こる。すなわち、抗体は、複数のCDRが標的と相互作用するとき、最もよく結合する。本発明の分子は、従って、相互作用のための複数のループの技術上の利点を有利に提供し、この利点は、2つ以下の分子からは得られないものである。] [0065] 第2の(又は次の)ペプチドループの実際の提供のほかに、こうしたループは、別のループを構造的に制約するという利点をもたらすことに留意する必要がある。これは、他のループが占有することはできない限られた3次元空間の一部を占有することにより達成される。あるいは、上記のことは、複数のループ同士の非共有結合相互作用によっても可能である。] [0066] 以上の利点からも、より構造化されたリガンドほど、一般に、高い親和性(結合時に失われるエントロピーが少ない)及び特異性で結合すると指摘することができる。] [0067] 本明細書で論じられるように、本発明は、2つ(又はそれ以上)のループの各々が異なる特性を有する環状ペプチド構造の作製も達成する。こうした構造は、単一の分子自体が、同じ全体構造の2つの異なる部分(ループ)に因ると考えられる二重特異性を有する事実を表すために、「二重特異性」と呼ばれる。このような実施形態の利点は、異なる標的(例えば、「抗原」)に結合するように、各ループを選択又は構築することができる点である。これは、本発明の3つの結合系のさらに別の顕著な特徴を示すものである。] [0068] これらの作用以外にも、本発明の分子はまた、ポリペプチド鎖の2つのセグメントの間に単一抗原(又は別の物質)を挟むことも可能にする。勿論この可能性は、1以下のループしかないポリペプチド構築物には存在しない。当然ながら、採用する特定の配置は、用いられる特定の構築物の形状に左右されうるが、本発明は、従来の技術とは対照的にこれを可能にする。] [0069] 勿論、以上の論考は、本発明に従い作製したループについて述べたものである。いくつかの実施形態では、続いてこれらのループを切断する。こうした実施形態であっても、ループは形成されることに留意する必要がある。簡単に言えば、ループ状分子を中間物として処理してから、該中間物をループの切断によりさらに処理することによって、結合(tether)した多重線状ペプチド構造を作製する。上記実施形態では、ペプチド切断後に、ペプチドを3つ以上の共有結合により連結化合物に連結させるため、分子は3つ以上のペプチド部分で修飾されることになる。こうした分子は、標的とより多くの相互作用を形成することができ、従って、より高度の結合親和性/特異性が予想され、これは、本明細書の3重結合系のさらに別の利点である。] [0070] 2つ以上のポリペプチドループを有する本発明の分子は、単一ループのみを有するポリペプチド分子と比較して、標的リガンドとより多くの相互作用を形成することができ、従って、より高度の親和性及び/又は特異性を有することができる点で有利である。例えば、優れた親和性のために第2ループを改良するのが望ましいが、これは明らかに単一ループの分子では不可能である。] [0071] 本発明の複合体において、連結化合物が、少なくとも2つのポリペプチドループを空間的に極めて近接して保持するのは利点である。これら2つ以上のループは、同じ標的リガンド上の様々なエピトープと同時に相互作用することができる。] [0072] さらに、2つ以上のループを有する利点は、「二重特異性」分子の製造に利用することができ、その場合、1つのループは、特定の特性若しくは結合親和性を有するものか、又はそれについて選択されたものであり、他方のループは、別の特性若しくは親和性について選択されたものである。これらの分子は、「二重特異性分子(bispecifics)」又は「二重特異性分子(dual specifics)」と呼ばれる。複数の種類が考えられる。例えば、以下のものがある: (a)ループ1について選択した後、ループ2(又はそれ以上)について選択することにより作製した二重特異性分子、 (b)2つの連結した二環式大環状分子、 (c)1つの二環式大環状分子とペプチド又は薬物。] [0073] (a)の場合、これは、典型的に第1抗原に対するライブラリーの1アリコート、及び第2抗原に対する別のアリコートを作製/選択することにより、実施することができる。次に、例えば標準的技法、例えば、2つのループをコードする核酸セグメントを組換えて、第1ループ及び第2ループの様々な組合せの新規ライブラリーを提供することにより、選択したループを対として組み合わせることができる。次に、対として組み合わせた分子(例えば、ファージ)を両方の抗原に対する結合について逐次スクリーニング及び/又は選択することができる。このようにして、2つの個別の抗原に結合することができる二重特異性分子を作製することができる。当然、この方法は、さらなる任意のステップで増強することができ、例えば、各抗原の結合親和性を各ループの突然変異により改善することができ、その場合、該突然変異は部位指定突然変異でも、又はランダム突然変異であってもよい。] [0074] 上記方法の変形では、ライブラリーの1アリコートを第1抗原に対する結合について選択することができる。結合に最も重要なループは、例えばバインダーとして選択したものから「共通配列」の検査により同定することができ、また、他方のループは、第2抗原に対してランダム化して、選択することができる。] [0075] 最も好適には(a)に記載したようなタイプの二重特異性分子をファージ上に作製する。] [0076] 前記(b)及び(c)に記載した変異型分子も同様にファージとして作製することができる(前記と同様の方法で)。あるいは、多くの場合、2つの連結した物質を個別に選択した後、化学合成のステップで融合することもでき、これにより、その選択/構築を単純化することが可能である。] [0077] 本発明の連結化合物が各ペプチドループの基部でアミノ酸残基を介した共有結合によりポリペプチドセグメントと連結する役割を果たす以外にも、該連結化合物は、別のアミノ酸残基などのポリペプチド鎖の別の要素とのさらなる非共有結合相互作用(例えば、イオン結合、疎水性相互作用、水素結合、ファンデルワールス相互作用)にも関与していることは、本発明の態様の別の有意かつ有利な特徴である。対照的に、Millwardらの二価リンカーは、線状で、しかも高度に可変性であり(プロピル)、その唯一の役割は、ポリペプチドの2つの末端を連結して、レドックス不感受性環状ペプチドを形成することである。Millwardらのリンカーは、小さく、しかも高度に可変性であるため、有意な非共有結合相互作用を形成すると予想することはできず、また、実際にそれを達成した証拠もない。本発明のこの利点については、有利な非共有結合相互作用の証拠と一緒に、実施例の節でさらに詳しく説明する。従って、好適には本明細書に説明した共有結合に加えて、1以上の非共有結合相互作用によりポリペプチドを連結化合物に結合させる。これは、本発明の複合体/コンジュゲートに構造的制約のレベル増加をもたらすというさらに別の利点を有する。] [0078] 複数のペプチドループを有する分子は、一般に、単一ペプチドループを有するポリペプチドより構造化されていることは、本発明の利点である。高度に構造化された分子は、より高度に特異性である傾向がある。また、十分に構造化された分子は、一般に優れた結合親和性も有する。さらに、複数のペプチドループを有する分子は、単一ペプチドループを有するポリペプチドと比較して、標的リガンドとの相互作用をより多く形成することができる。] [0079] 本発明の連結化合物はまた、それ自身の化学構造に由来する構造的制約を課することも、本発明の態様のさらなる利点である。例えば、いくつかの化学基は、非可変性であること、回転を阻止すること、立体障害又は制約を賦与すること、剛性構造を呈示すること、あるいはまた、複合体にスカフォールド又は制約を賦与することがわかっている。従って、好適には本発明の連結化合物は、スカフォールド基、例えば剛性のスカフォールド基を含む。このスカフォールド基の機能は、本発明の複合体に分子構造又は制約を賦与することである。本発明の好ましい連結化合物、トリス-(ブロモメチル)ベンゼン(TBMB)に関連して、この特徴は、TBMBのベンゼン基の平面構造を参照にして説明することができる。このベンゼン基は、その平面の特徴のために剛性であることから、連結化合物のスカフォールド基、特に剛性スカフォールド基として用いることができる。] [0080] 従って、本発明の非常に好ましい実施形態では、連結化合物は、ポリペプチドとの少なくとも3つの共有結合により課される構造的制約を賦与し、連結化合物とポリペプチドとの非共有結合を介したさらなる構造を賦与し、さらには、本発明の連結化合物は、それ自身の化学構造の性質による構造的制約も課して、剛性のスカフォールドの役割を果たす。例えば、連結化合物が、トリス-(ブロモメチル)ベンゼン(TBMB)である場合と同様のものを含むときのベンゼン基の平面構造である。] [0081] 連結化合物 連結化合物は、「分子コア」と呼ばれることもある。好適には、連結化合物は分子対称を有する。好適には、連結化合物は、3つの反応基を有し、かつ3回対称を有する。これは、単一反応生成物のみを生成するという利点がある。連結化合物が対称分子でない場合には、複数の反応生成物が生成される可能性がある。これは、複雑化を招いたり、又は別の反応生成物から所望の異性体を分離することを要したりする可能性がある。適切な対称を有する連結化合物を用いることにより、このような問題は有利に改善される。] [0082] 作製されるポリペプチドが、従来の環状ペプチドより高度な複雑度を有することは本発明の利点である。例えば、本発明に従い作製されるポリペプチドは、別の化学物質との相互作用のために2を超えるループを有してもよい。さらに、本発明に従い作製されるポリペプチドは、従来技術に基づくポリペプチドより高いレベルの制約を享受する。これら2つの作用が一緒になって、ポリペプチドの複数のループ(又は「環」)が、共通の連結化合物との結合を介して互いに物理的に極めて接近して保持されているという、さらに別の利点を生み出す。これは、ポリペプチドの構造に対する制約のレベル増大をもたらす。] [0083] 一般に、従来技術の環状ポリペプチドは、複数のシステイン残基、例えば2つのシステイン残基を用いて結合されて、ペプチドの2つの部分の間に架橋を形成し、これにより環状ポリペプチドを形成する。しかし、こうした分子はレドックス感受性である。Millwardらの方法は、レドックス不感受性の環状ペプチドの作製に直接向けられている。この点で、Millwardらの方法は、従来技術から逸脱し、教示内容も、ポリペプチドの修飾のための反応基としてのシステインの使用からかけ離れている。対照的に、本発明によれば、システインは好ましい反応基である。] [0084] 連結化合物との少なくとも3つ異なる共有結合のための3つ以上の反応基があれば、上記反応基のすべてがシステインである必要はない。例えば、3つの反応基は、1つのシステインと2つの別の好適な反応基を含んでもよく、それらは、例えばリシン、セレノシステイン又はその他を含んでもよい。最も好適には、3つの反応基の全てがシステインである。] [0085] 従来の技術では、単一ループポリペプチドの作製しか達成されなかった。本発明によれば、ポリペプチドを様々な位置で連結化合物と結合させることにより、少なくとも2つ又はそれ以上のループを作製することができる。] [0086] 本発明の方法は、ポリペプチドとの少なくとも3つの結合を含む。これは、より高度の分子制約という利点を有する。これは、別の部分との相互作用のための複数のポリペプチドループの呈示という別の利点も有する。] [0087] 公知の方法では、ポリペプチド、例えば遺伝的にコード化されたポリペプチドに架橋剤を導入するか、又は結合させていた。対照的に、本発明は、同じポリペプチドの様々な部分の多重配位のための連結化合物を提供する。] [0088] 好適には前記連結化合物は小分子でよい。好適には連結化合物は、有機小分子である。] [0089] 好適には前記連結化合物は、天然モノマー、例えば、ヌクレオシド、糖、若しくはステロイドであってもよいし、又はこれらに基づくものであってもよい。好適には連結化合物は、こうした物質の短いポリマー、例えば二量体又は三量体であってもよい。] [0090] 好適には前記連結化合物は、既知の毒性、好適には低毒性の化合物である。好適な化合物の例として、コレステロール、ヌクレオチド、ステロイド、又は既存の薬物、例えばタマザパンがある。] [0091] 好適には前記連結化合物は、高分子であってよい。好適には連結化合物は、アミノ酸、ヌクレオチド又は炭水化物から構成される高分子である。] [0092] 好適には前記連結化合物は、標的ポリペプチドの官能基と反応して、共有結合を形成することができる反応基を含む。] [0093] 前記連結化合物は、アミン、チオール、アルコール、ケトン、アルデヒド、ニトリル、カルボン酸、エステル、アルケン、アルキン、アジド、無水物、スクシンイミド、マレイミド、ハロゲン化アルキル及びハロゲン化アシルなどの化学基を含んでもよい。] [0094] 好適には連結化合物は、トリス(ブロモメチル)ベンゼン又はその誘導体を含むか、又はそれからなるものでよい。] [0095] 好適には連結化合物は、標的ポリペプチドの3つの官能基と連結化合物との反応により、単一生成物異性体を生成するように、3回回転対称を有する。] [0096] いくつかの実施形態では、連結化合物は、コード化ポリペプチドの4つの官能基と連結化合物との反応により、2つ以下の生成物異性体を生成するように、正四面体型形状を有するものであってもよい。] [0097] 好適な連結化合物は、1,3,5-トリス(ブロモメチル)ベンゼン(TBMB)である。] [0098] 好適な連結化合物は、2,4,6-トリス(ブロモメチル)メシチレンである。これは、1,3,5-トリス(ブロモメチル)ベンゼンと類似しているが、ベンゼン環に結合した3つのメチル基をさらに含んでいる。これは、上記追加のメチル基が、ポリペプチドとのさらなる接触点を形成するため、さらなる構造的制約が加えられるという利点を有する。] [0099] 本発明の連結化合物は、小分子又は高分子構造のいずれかから選択する。上記連結化合物は、有機成分、無機成分、又は有機と無機の成分から構成される。] [0100] 好ましい実施形態では、連結化合物は、有機小分子、例えば、線状アルカンである。さらに好適には連結化合物は、分枝アルカン、環状アルカン、多環式アルカン、アロメート(aromate)、複素環式アルカン又は複素環式アロメートであり、これらは可変性が低い(すなわち、剛性が高い)という利点をもたらす。] [0101] 別の実施形態では、連結化合物は、高分子構造、例えばポリペプチド、ポリヌクレオチド又は多糖から選択される。] [0102] 本発明の連結化合物は、本発明のコード化ライブラリーのポリペプチドの官能基が連結化合物との共有結合を形成するのを可能にする化学基を含む。上記化学基は、広範な官能基から選択され、例えば、アミン、チオール、アルコール、ケトン、アルデヒド、ニトリル、カルボン酸、エステル、アルケン、アルキン、無水物、スクシンイミド、マレイミド、アジド、ハロゲン化アルキル及びハロゲン化アシルなどがある。] [0103] 一実施形態では、本発明の連結化合物はトリス(ブロモメチル)ベンゼン又はその誘導体である。] [0104] ポリペプチド コード化ポリペプチドの官能基は、天然又は非天然アミノ酸の側鎖により好適に提供される。コード化ポリペプチドの官能基は、チオール基、アミノ基、カルボキシル基、グアニジニウム基、フェノール基又はヒドロキシル基から好適に選択される。コード化ポリペプチドの官能基は、アジド基、ケト-カルボニル基、アルキン基、ビニル基、又はハロゲン化アリール基から好適に選択される。コード化ポリペプチドの官能基は、好適にはポリペプチドのアミノ末端又はカルボキシ末端である。] [0105] いくつかの実施形態では、連結化合物に連結するためのポリペプチドの官能基の各々は、同じタイプのものである。例えば、各官能基はシステイン残基であってもよい。] [0106] いくつかの実施形態では、連結化合物に連結するための官能基は、2つ以上の異なるタイプを含んでも、又は3つ以上の異なるタイプを含んでもよい。例えば、官能基は、2つのシステイン残基と1つのリシン残基を含んでもよいし、又は1つのシステイン残基、1つのリシン残基及び1つのN-末端アミンを含んでもよい。] [0107] いくつかの実施形態では、天然アミノ酸のような別のアミノ酸が、ポリペプチド、例えば本発明のファージディスプレイされるペプチドを化学的に修飾するのに適している。] [0108] システインは、その反応性が他の全てのアミノ酸とは最も異なるという利点があるため、最も好適である。システインのチオール基と反応させるために連結化合物で用いることができる反応基は、ハロゲン化アルキル(又はハロゲノアルカン若しくはハロアルカンとも呼ばれる)である。例として、ブロモメチルベンゼン(例としてTBMBが挙げられる反応基)又はヨードアセトアミドがある。タンパク質中で化合物をシステインに選択的に連結させるために用いられるその他の反応基はマレイミドである。本発明において連結化合物として用いることができるマレイミドの例として、トリス-(2-マレイミドエチル)アミン、トリス-(2-マレイミドエチル)ベンゼン、トリス-(マレイミド)ベンゼンがある。セレノシステインもまた、システインに対して類似の反応性を有する天然アミノ酸であり、同じ反応に用いることができる。従って、システインについて述べる場合はいつも、文中に別の提案のない限り、一般にセレノシステインを代わりに用いることも可能である。最も好適にはシステインを用いる。] [0109] リシン(及びペプチドのN-末端の一級アミン)もまた、連結化合物と連結させることによりファージ上のペプチドを修飾するための官能基として適している。しかし、これらは、ファージタンパク質においてシステインより豊富であり、ファージ粒子が架橋される、又はその感染性を失う危険性がより高い。それにもかかわらず、本発明者らは、リシンが、連結化合物との第2の、又は連続した連結を形成するために、分子内反応において特に有用である(例えば、連結化合物がファージペプチドとすでに連結しているとき)ことを見出した。この場合、連結化合物は、ディスプレイされるペプチド(特に、極めて近接したリシン)と選択的に反応する。一級アミンと選択的に反応する官能基は、スクシンイミド、アルデヒド又はハロゲン化アルキルである。ハロゲン化アルキルについては、読者には、様々な反応性を有するハロゲン化アルキルが存在することは周知であろう。付随するいくつかの実施例で用いたブロモメチル基の場合、ベンゼン環の電子はカチオン遷移状態を安定化することができる。この特定のハロゲン化アルキルは従って、ベンゼン基に連結していないハロゲン化アルキルより100〜1,000倍反応性が高い。連結化合物として用いるスクシンイミドの例として、トリス-(スクシンイミジルアミノトリアセテート)、1,3,5-ベンゼン三酢酸がある。連結化合物として用いるアルデヒドの例としては、トリホルミルメタンがある。連結化合物として用いるハロゲン化アルキルの例としては、1,3,5-トリス(ブロモメチル)-2,4,6-トリメチルベンゼン、1,3,5-トリス(ブロモメチル)ベンゼン、1,3,5-トリス(ブロモメチル)-2,4,6-トリエチルベンゼンがある。] [0110] いくつかの実施形態では、分子リンカー又は修飾は、連結化合物の結合前に、コード化ポリペプチドの官能基に付加する(又は付加することにより、上記官能基を形成する)ことができる。尚、上記リンカー又は修飾は、連結化合物と反応することができるものである。] [0111] 連結化合物と連結させるための官能基を含むアミノ酸は、コード化ポリペプチド内のいずれの好適な位置に配置してもよい。形成される特定の構造又はループに影響を与える目的で、官能基を有するアミノ酸の位置は、生成されるポリペプチドに突然変異を起こす目的で、ポリペプチドをコードする核酸を操作することにより、熟練した技術者が変更してもよい。] [0112] 当業者のニーズ又は本発明を適用する目的に応じて、コード化ポリペプチドのアミノ酸の各々が、突然変異誘発(例えば、限局的変化の(restricted variance)突然変異誘発)の標的であってもよい。明らかに、連結化合物との結合のための少なくとも3つの官能基が、目的のポリペプチドに必要である。連結化合物に結合させるのに必要なもの以外のアミノ酸は、技術者のニーズに応じて自由に変更することができ、このようなアミノ酸を「可変アミノ酸」と呼ぶ。コード化ポリペプチド(例えば、ポリペプチドライブラリーメンバー)の可変アミノ酸は、ランダム化しても、部分的にランダム化してもよいし、定常であってもよい。] [0113] 標的ポリペプチドは、連結化合物結合セグメントを含む。これは、連結化合物が結合する領域である。好適にはポリペプチドの官能基に関する前記説明を上記結合セグメントに適用する。好適には標的ポリペプチドの連結化合物結合セグメントは、1〜20個のアミノ酸残基を含む。好適には標的ポリペプチドの連結化合物結合セグメントは、9個以下のアミノ酸を含む。これは、該ポリペプチドのセグメントを連結化合物に結合させると、ポリペプチドセグメントにさらに構造的制約を課するという利点を有する。] [0114] 標的ポリペプチドは、好適には配列AC(X)6C(X)6CG(配列中、Xはランダム天然アミノ酸を表し、Aはアラニンを、Cはシステインを、またGはグリシンをそれぞれ表す)を含む。] [0115] 標的ポリペプチドは、好適には配列(X)lY(X)mY(X)nY(X)o(配列中、Yは、官能基を含むアミノ酸を表し、Xはランダムアミノ酸を表し、m及びnは、介在ポリペプチドセグメントの長さを定める1〜20までの数であり、l及びoは、隣接ポリペプチドセグメントの長さを定める0〜20までの数である)を含む。] [0116] いくつかの実施形態では、本発明の複合体は、配列AC(X)6C(X)6CGを有するポリペプチドを含むものでよい。一実施形態では、本発明のライブラリーメンバー又は複合体は、メシチレン連結化合物と、配列AC(X)6C(X)6CGを有するポリペプチドを含むものでよく、上記ポリペプチドは、該システイン残基と一緒に3つのチオエーテル結合を形成するポリペプチドのシステイン残基を介して連結化合物の環外メチル基に結合し、上記配列中、Xはアミノ酸(好適には天然アミノ酸)を表し、Aはアラニンを、Cはシステインを、またGはグリシンをそれぞれ表す。] [0117] 好適には標的ポリペプチドはヒト血漿カリクレインのインヒビターを含み、ポリペプチドは、以下のアミノ酸配列の1つ以上を含む:GCSDRFRNCPADEALCG、ACSDRFRNCPLWSGTCG、ACSTERRYCPIEIFPCG、ACAPWRTACYEDLMWCG、ACGTGEGRCRVNWTPCG又は関連配列。] [0118] 関連配列とは、少なくとも50%同一性、好適には少なくとも60%同一性、好適には少なくとも70%同一性、好適には少なくとも80%同一性、好適には少なくとも90%同一性、好適には少なくとも95%同一性、好適には少なくとも98%同一性、好適には少なくとも99%同一性を有するアミノ酸配列を意味する。同一性は、基準配列の少なくとも10アミノ酸、好適には少なくとも12アミノ酸、好適には少なくとも14アミノ酸、好適には少なくとも16アミノ酸、好適には少なくとも17アミノ酸又は全長の連続したセグメントから好適に判断する。] [0119] 好適には標的ポリペプチドは、ヒトカテプシンGのインヒビターを含み、ポリペプチドは、以下のアミノ酸配列の1つ以上を含む:ACEYGDLWCGWDPPVCG、ACIFDLGFCHNDWWNCG、ACLRAQEDCVYDRGFCG又は関連配列。] [0120] 好適には標的ポリペプチドは、ヒトウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子のインヒビターを含み、ポリペプチドは、以下のアミノ酸配列の1つ以上を含む:ACNSRFSGCQIDLLMCG、ACSRYEVDCRGRGSACG又は関連配列。] [0121] 好適には標的ポリペプチドは、少なくとも105のメンバー、さらに好適には少なくとも109のメンバーを含むポリペプチドのライブラリーに含まれる。本発明はまた、かかるライブラリーにも関する。] [0122] ポリペプチドの反応基 本発明の連結化合物は、ポリペプチドの官能基又は反応基を介してポリペプチドに結合させることができる。これらは、一般にポリペプチドポリマーに存在する特定のアミノ酸の側鎖から形成される。上記反応基は、システイン側鎖、リシン側鎖、若しくはN-末端アミン基又はその他いずれかの好適な反応基であってもよい。] [0123] 好適には少なくとも1つの官能基はシステイン基である。リシン又はN-末端アミンのような基は、一般に、好都合な期間内にそれ自体で連結化合物と結合するのに十分反応性ではない。しかし、一旦連結化合物が少なくとも1つのシステインに引きつけられるか、又はこれと結合すれば、一般的反応速度論から、その後、リシン又はアミン結合が迅速かつ安定に形成されることになる。この理由から、好適には少なくとも1つの官能基はシステイン基である。] [0124] システイン/リシン/アミン基以外のポリペプチドの反応基を所望する場合には、標的ポリペプチドについて選択した特定の官能反応基と対を形成するように、別の連結化合物を選択することができる。] [0125] 好適にはシステイン、リシン又はアミン基を目的のポリペプチドの官能基又は反応基として用いる。] [0126] 好適には少なくとも3つの共有結合を連結化合物と目的のポリペプチドとの間に形成する。] [0127] いくつかの実施形態では、4つ又はそれ以上の結合を連結化合物と目的のポリペプチドとの間に形成する。しかし、4つ以上の結合を用いると、一般に形成される生成物混合物はますます複雑になり、後の使用又は適用ができなくなる虞がある。そのため、連結化合物と目的のポリペプチドとの間での3つ又は4つの結合が好ましい。どんな実施形態においても、連結化合物の分子対称が好ましい。3つの官能基又は反応基を有する連結化合物が最も好ましい。3回分子対称を有する連結化合物が最も好ましい。] [0128] 本発明の遺伝的にコード化されたポリペプチドの官能基は、連結化合物/分子コアとの共有結合を形成することができる。官能基は、天然アミノ酸又は非天然アミノ酸内の特定の原子団である。好ましくは、特有の化学反応性を有する官能基を用いて、ポリペプチドを連結化合物に連結させることにより、本発明の複合体を形成する。上記特有の官能基の使用により、連結化合物/分子コアと、ポリペプチドの指定官能基のみとの結合が可能になるが、ポリペプチドの多様性要素、複合体の核酸又は別の成分の他の化学基には結合しない。] [0129] 天然アミノ酸の好適な官能基は、システインのチオール基、リシンのアミノ基、アスパラギン酸若しくはグルタミン酸のカルボキシル基、アルギニンのグアニジニウム基、チロシンのフェノール基又はセリンのヒドロキシル基である。非天然アミノ酸は、アジド、ケト-カルボニル、アルキン、ビニル、又はハロゲン化アリール基などの非常に多様な官能基を提供することができる。ポリペプチドの末端のアミノ基及びカルボキシル基はまた、連結化合物/分子コアとの共有結合を形成するための官能基の役割も果たすことができる。] [0130] 本発明のコード化ポリペプチドは、好適には少なくとも3つの官能基を含む。上記ポリペプチドはまた、4つ以上の官能基を含むこともできる。用いる官能基が多いほど、多くの多様性セグメントを連結化合物/分子コアに結合させることができる。しかし、過剰な数の官能基と連結化合物/分子コアの連結は、操作不可能な数の生成物異性体をもたらす可能性があることから、推奨されない。好適には連結化合物との3つ、4つ又は5つの共有結合を用い、非常に好適には3つ又は4つの共有結合を、最も好適には3つの共有結合を用いる。] [0131] 好ましい実施形態では、3つの官能基を含む、コード化ポリペプチドを作製する。該ポリペプチドと、3回回転対称を有する連結化合物/分子コアとの反応により、単一生成物異性体が生成される。単一生成物異性体の作製は、いくつかの理由で好ましい。化合物ライブラリーの核酸(「遺伝コード」と呼ばれることもある)は、ポリペプチドの一次配列のみをコードするが、コード化ポリペプチドと分子コアとの反応時に形成される分子の異性状態はコードしない。1つの生成物異性体のみを形成することができれば、生成物異性体に対する核酸の割当ては明瞭に定められる。複数の生成物異性体が形成されれば、核酸はスクリーニング又は選択プロセスで単離された生成物異性体の性質に関する情報を与えることができない。単一生成物異性体の形成はまた、本発明のライブラリーの特定のメンバーを合成する場合にも有利である。この場合、ポリペプチドと連結化合物との化学反応により、異性体の混合物ではなく、単一生成物異性体が得られる。] [0132] 本発明の別の実施形態では、4つの官能基を含む、コード化ポリペプチドが作製される。上記ポリペプチドと、正四面型対称を有する連結化合物/分子コアとの反応により、2つの生成物異性体が生成される。2つの異なる生成物異性体が1つの同じ核酸(「遺伝コード」)によりコード化される場合でも、単離された異性体の異性体としての性質は、両異性体を化学的に合成し、2つの異性体を分離し、標的リガンドとの結合について両異性体を試験することにより、決定することができる。] [0133] 本発明の一実施形態では、ポリペプチドの官能基の少なくとも1つは、残りの官能基に対して直交する。直交官能基を使用すれば、分子コアの特定の部位にこの直交官能基を向けることが可能になる。直交官能基を含む連結戦略を用いて、形成される生成物異性体の数を制限することができる。言い換えれば、少なくとも3つの結合の残りについて選択された官能基に対して、少なくとも3つの結合の1以上について別の、又は異なる官能基を選択することにより、連結化合物上の特定の位置に対するポリペプチドの特定の官能基の特定の順序の結合又は方向付けを有効に達成することができる。] [0134] 別の実施形態では、本発明のコード化ポリペプチドの官能基を分子リンカーと反応させるが、上記リンカーは、最終的結合状態にある連結化合物とポリペプチドとの間に介入するように、連結化合物/分子スカフォールドと反応することができる。] [0135] 遺伝的にコード化されたコンビナトリアル化学ライブラリーのメンバーの好適なアミノ酸は、任意の天然又は非天然アミノ酸で置換することができる。但し、ポリペプチドを分子コアに架橋するための官能基を含むものは、置換可能なアミノ酸から除外する。改変が可能な隣接アミノ酸の群は、ポリペプチドセグメントとして定義される。単一のポリペプチドセグメントの大きさは、好適には1〜20アミノ酸の範囲である。ポリペプチドセグメントはランダム配列、定常配列、又はランダム及び定常アミノ酸を含む配列のいずれかを有する。官能基を含むアミノ酸は、本発明のコード化ポリペプチド内の規定位置又はランダムな位置のいずれかに配置する。] [0136] 一実施形態では、連結化合物/分子コアとの結合のための2アミノ酸含有官能基によって結合されたポリペプチドセグメントは、10以下のアミノ酸からなる短いアミノ酸配列である。コード化ポリペプチド配列と分子コアとの反応により、高度の構造的制約を有するライブラリーメンバーが作製される。構造的に制約されたリガンドは、一般に、より特異的であり、より高い結合親和性を有する。構造的制約はまた、例えば、体液中でのタンパク質分解からリガンドを保護することができる。] [0137] 一実施形態では、3つの官能基を含む、コード化ポリペプチドは、配列(X)lY(X)mY(X)nY(X)o(配列中、Yは、官能基を含むアミノ酸を表し、Xはランダムアミノ酸を表し、m及びnは、介在ポリペプチドセグメントの長さを定める1〜20までの数であり、l及びoは、隣接ポリペプチドセグメントの長さを定める0〜20までの数である)を含む。] [0138] 好ましい実施形態では、本発明のコード化されたポリペプチドライブラリーは、配列AC(X)6C(X)6CG(Aはアラニンを表し、Cはシステインを表し、Xはランダム天然アミノ酸を表し、またGはグリシンを表す)を含む。] [0139] チオール媒介コンジュゲーションに代わる方法を用いて、共有結合相互作用を介して連結化合物をペプチドに結合させることもできる。あるいは、こうした方法は、別の部分(例えば、連結化合物とは異なる目的の小分子など)を本発明に従い選択又は単離した後、ポリペプチドに対する該部分の修飾又は結合に用いてもよい。この実施形態では、このとき、明らかに結合は共有結合である必要はなく、非共有結合も含みうる。上記方法は、相補的官能基を担持する小分子と一緒に、必要な化学官能基を含む非天然アミノ酸を担持するタンパク質及びペプチドをディスプレイするファージを作製することにより、あるいは、選択/単離段階後に分子を作製する場合には、化学的又は組換えにより合成したポリペプチドに非天然アミノ酸を組み込むことにより、チオール媒介方法の代わりに(又はこれと組み合わせて)用いることもできる。] [0140] ファージ上のペプチド及びタンパク質に組み込まれる非天然アミノ酸は、以下のもの含んでもよい:1)ヒドラジン、ヒドロキシルアミン及びそれらの誘導体と特異的に反応させることができるケトン官能基(例えば、パラ又はメタアセチル−フェニルアラニンに存在するもの)(Addition of the keto functional group to the genetic code of Escherichia coli. Wang L, Zhang Z, Brock A, SchultzPG. Proc Natl Acad Sci U S A. 2003 Jan 7;100(1):56-61; Bioorg Med Chem Lett. 2006 Oct 15;16(20):5356-9. Genetic introduction of a diketone-containing amino acid into proteins. Zeng H, Xie J, Schultz PG)、2)銅触媒「クリックケミストリー」若しくは系統促進(3+2)環化付加(cyloadditions)によりアルキンと反応して、対応するトリアゾールを形成することができるアジド(例えば、p-アジド-フェニルアラニンに存在するもの)(Addition of p-azido-L-phenylalanine to the genetic code of Escherichia coli. Chin JW, Santoro SW, Martin AB, King DS, Wang L, Schultz PG. J Am Chem Soc. 2002 Aug 7;124(31):9026-7;Adding amino acidswith novel reactivity to the genetic code of Saccharomyces cerevisiae. Deiters A, Cropp TA, Mukherji M, Chin JW, Anderson JC, Schultz PG. J Am Chem Soc. 2003 Oct 1;125(39):11782-3)、又はスタウディンガーライゲーション(Staudinger ligation)により、アリールホスフィンと反応して、対応するアミドを形成することができるアジド(Selective Staudinger modification of proteins containing p-azidophenylalanine. Tsao ML, Tian F, Schultz PG. Chembiochem. 2005 Dec;6(12):2147-9)、4)アジドと反応して、対応するトリアゾールを形成することができるアルキン(In vivo incorporation of an alkyne into proteins in Escherichia coli. Deiters A, Schultz PG. Bioorg Med Chem Lett. 2005 Mar 1;15(5):1521-4)、5)1以上の適切に間隔をあけたヒドロキシル基を含む化合物と特異的に反応することができる、又はハロゲン化化合物とのパラジウム媒介結合を起こすことができる、ボロン酸(ボロネート)(Angew Chem Int Ed Engl. 2008;47(43):8220-3. A genetically encoded boronate-containing amino acid., Brustad E, Bushey ML, Lee JW, Groff D, Liu W, Schultz PG)、6)金属イオンと特異的に配位結合することができる金属キレート化アミノ酸(例えば、ビピリジルを担持するもの)(Angew Chem Int Ed Engl. 2007;46(48):9239-42. A genetically encoded bidentate, metal-binding amino acid. Xie J, Liu W, Schultz PG)。] [0141] 非天然アミノ酸は、以下のものを担持するプラスミド又はプラスミドの組合せで大腸菌を形質転換することにより、ファージ上にディスプレイされるタンパク質及びペプチドに組み込むことができる:1)コドンに応答して非天然アミノ酸の組込みを指令する直交アミノアシル-tRNAシンテターゼ及びtRNA、2)非天然アミノ酸組込みの部位に、選択したコドンを含むように改変されたファージDNA又はファージミドプラスミド(Proc Natl Acad Sci U S A. 2008 Nov 18; 105(46):17688-93. Protein evolution with an expanded genetic code. Liu CC, Mack AV, Tsao ML, Mills JH, Lee HS, Choe H, Farzan M, SchultzPG, Smider VV; A phage display system with unnatural amino acids. Tian F, Tsao ML, Schultz PG. J Am Chem Soc. 2004 Dec 15;126(49):15962-3)。直交アミノアシル-tRNAシンテターゼ及びtRNAは、メタン生成菌(Methancoccus janaschii)チロシル対又はシンテターゼ(Addition of a photocrosslinking amino acid to the genetic code of Escherichiacoli. Chin JW, Martin AB, King DS, Wang L, Schultz PG. Proc Natl Acad Sci U S A. 2002 Aug 20;99(17):11020-4)及びピロリシンを自然に組み込むtRNA対(Multistep engineering of pyrrolysyl-tRNA synthetase to genetically encode N(epsilon)-(o-azidobenzyloxycarbonyl) lysine for site-specific protein modification. Yanagisawa T, Ishii R, Fukunaga R, Kobayashi T, Sakamoto K, Yokoyama S. Chem Biol. 2008 Nov 24;15(11):1187-97;Genetically encoding N(epsilon)-acetyllysine in recombinant proteins. Neumann H, Peak-Chew SY, Chin JW. Nat Chem Biol. 2008 Apr;4(4):232-4. Epub 2008 Feb 179)に由来するものでよい。組込みのためのコドンは、アンバーコドン(UAG)、別の終止コドン(UGA、又はUAA)でもよいし、あるいは4塩基コドンであってもよい。アミノアシル-tRNAシンテターゼ及びtRNAは、既存のベクターから作製することができ、このようなベクターとして以下のものがある:pBK系のベクター、pSUP(Efficient incorporation of unnatural amino acids into proteins in Escherichia coli. Ryu Y, Schultz PG.Nat Methods. 2006 Apr;3(4):263-5)ベクター、及びpDULEベクター(Nat Methods. 2005 May;2(5):377-84. Photo-cross-linking interacting proteins with a genetically encoded benzophenone. Farrell IS, Toroney R, Hazen JL, Mehl RA, Chin JW)。用いられる大腸菌株は、F’線毛を発現する(一般にtraオペロンを介して)。アンバー抑制を用いる場合、大腸菌株自体は、活性アンバーサプレッサーtRNA遺伝子を含まない。アミノ酸は、好ましくは1mM以上の最終濃度で増殖培地に添加する。アミノ酸組込みの効率は、直交リボソーム結合部位を有する発現構築物を用いて、リボ-Xを含む遺伝子を翻訳することにより、高めることができる(Evolved orthogonal ribosomes enhance the efficiency of synthetic genetic code expansion. Wang K, Neumann H, Peak-Chew SY, Chin JW. Nat Biotechnol. 2007 Jul;25(7):770-7)。これは、リガンドとの複数の結合部位をもたらす非天然アミノ酸の効率的多重部位組込みを可能にすることができる。] [0142] ファージ精製 ファージ精製のためのいずれの好適な手段を用いてもよい。標準的な技法を本発明に適用することができる。例えば、ファージは、濾過により、又はPEG沈殿などの沈殿により精製することができ、PEG沈殿の場合には、ファージ粒子を作製した後、以前記載されているように、ポリエチレン−グリコール(PEG)沈殿により精製することができる。] [0143] さらに詳細な手引きが必要な場合には、Jespersら(Protein Engineering Design and Selection 2004 17(10):709-713. Selection of optical biosensors from chemisynthetic antibody libraries.)を参照にする。好適にはファージは、上記文献に教示されているように精製することができる。尚、上記文献の全文は、ファージ精製の方法についての参照として本明細書に明示的に組み込むものとし、特に、Jespersらの第709頁右欄の途中からの材料及び方法の節の始めの部分を参照にする。] [0144] さらに、ファージは、Marksら、J.Mol.Biol vol222、pp581-597により公開されているように精製してもよい。尚、上記文献は、ファージ作製/精製をどのように実施するかの具体的説明のための参照として本明細書に明示的に組み込むものとする。] [0145] さらに詳細な手引きが必要な場合には、ファージを以下のように還元し、精製することができる。約5 x 1012個のファージ粒子を1 mMジチオトレイトール(DTT)と室温で30分にわたり反応させた後、PEG沈殿させる。水ですすいだ後、ペレットを1 mlの反応バッファー(10 mMリン酸バッファー、1 mMEDTA、pH 7.8)中に再懸濁させる。次に、ファージを任意で50μlの1.6 mM N-[(2-ヨードアセトキシ)エチル]-N-メチルアミノ-7-ニトロベンズ-2-オキサ-1,3-ジアゾール(NBDIA)(Molecular Probes)と室温で2時間にわたり反応させるか、又はより好適には本明細書に記載の連結化合物と反応させる。反応は、ファージ粒子のPEG沈殿により停止する。] [0146] ファージを作製/精製することができるさらに別の方法は、Schreier及びCortese(A fast and simple method for sequencing DNA cloned in the single-stranded bacteriophage M13. Journal of molecular biology 129(1):169-72, 1979)に教示されている通りである。上記文献は、Sangerら(1977)のチェーンターミネーションDNA配列決定法を扱っており、この方法は鋳型として一本鎖DNAを必要とする。M13ファージDNAは、一本鎖として存在するため、M13にクローニングされるすべてのDNA配列は、この形態で容易に取得することができる。Schreier及びCorteseは、配列決定の鋳型として用いるのに十分純粋なM13一本鎖DNAが、ファージ粒子の簡単な遠心分離及びフェノールでの抽出により作製することができることを示している。Schreier及びCorteseの文献は、ファージの精製方法についての参照として本明細書に明示的に組み込むものとする。疑念を避けるために、フェノール抽出は核酸精製を目的とすることから、本発明の複合体の作製では実施しない。従って、Schreier及びCorteseのフェノールステップは除外するのが好適である。Schreier及びCortese方法は、精製されたファージ粒子の時点までしか実施しない。] [0147] 従って、ファージの精製のための当分野で公知の様々な技術がある。本発明に関して、こうした精製は、連結化合物との結合のために(特に該結合がシステイン残基を介するものであるとき)目的のポリペプチドにおいて官能基を還元するのに用いた還元剤の除去のために用いる。] [0148] 任意で、以下の反応化学の節で説明するように、ファージ精製のための特に有利な方法を採用してもよい。これらの方法は本発明に必須の要素として考えられるわけではないが、特に有用な方法、又は本発明のファージ粒子を作製する最良の方法を提供しうることに特に留意すべきである。しかし、連結化合物の結合前に、還元剤の除去段階でファージ上の還元官能基/反応基の再酸化の防止に注意を払うのであれば、これを達成するのに原則としてどのような方法を用いてもよい。記載する濾過方法が特に有効であるが、標準的方法より複雑でもあるため、技術者は、本発明の具体的作業に最も適した方法を選択すればよい。最も好適には濾過方法を用いる。] [0149] 反応化学 三重結合連結化合物、すなわち本発明のポリペプチドコンジュゲート及びファージ粒子に関する概念上の見識に加えて、本発明者らは、生成物の遺伝的にコード化された部分の完全性を維持しながら、化学的結合を達成するために設定することができる一組の厳密な化学的条件も導き出した。ポリペプチドの修飾のための従来の技術は、過酷な化学及び独立したポリペプチド修飾反応を含むものであった。対照的に、本発明は、生成物の遺伝的にコード化された要素の機能及び完全性を有利に維持しながら、ポリペプチドの修飾のための新規な化学的条件を提供する。特に、遺伝的にコード化された要素が、これをコードするファージの表面にディスプレイされるポリペプチドである場合には、上記化学は、有利なことに、ファージの生物学的完全性を損なわない。本明細書には、こうした化学的反応を増強又は促進することができる限られた枠の条件があることを開示している。特に、以下にさらに詳細に説明するように、用いる溶媒及び温度は効率的反応に重要である。さらに、用いる試薬の濃度も、修飾しようとするポリペプチド部分の架橋又は損傷を改善又は排除しながら、正しい結合を促進するのに役立つ。] [0150] 特に、最も効率的な反応には標的ポリペプチドにおけるシステインの還元が必要であることが開示される。明らかに、所望の結合を実施するためには、システインを化学的に還元するのに用いる還元剤を除去しなければならない。公知の方法の1つは、システインの還元にジチオトレイトール(DTT)を用いること、また、還元剤の除去のためには、ファージ粒子のような粒子を沈殿反応において沈殿させることである。こうした沈殿反応は、一般に、ファージ粒子の沈殿を引き起こす2.5モルNaClと一緒に20%ポリエチレングリコール(PEG)を含む。しかし、本発明者らは、いくつかの実施形態では、これら特定の標準的条件が、恐らく還元されたシステイン残基の一部の再酸化のために、ポリペプチドにおけるシステイン残基と連結化合物との効率的反応をもたさなかったことを明らかにしている。これは、従来技術を理解しただけでは予測することができなかったことである。この標準的方法は、特に当業者が、開示されているように注意深く再酸化を評価/防止する必要性に敏感であれば、本発明において依然として用途が存在しうることに留意すべきである。しかし、本発明者らは、システインを還元状態に維持しながら、どのようにして還元剤を除去するかという難解な課題に取り組んできた。以下にさらに詳しく開示するように、解決策は、様々な戦略に見いだされ、そのようなものとして、トリスカルボキシエチル-ホスフィン、脱気バッファー、反応混合物におけるキレート剤の使用、及び好都合な化学的条件下で粒子を抽出するための濾過などがある。] [0151] 例えば、連結化合物と標的ポリペプチドの結合のための反応条件を注意深く選択しなければならない。条件の選択は、本発明を適用する用途に応じて変化しうる。標的ポリペプチドがファージ粒子に含まれる場合には、特に注意を要する。手引きは本明細書及び実施例の節を通して提供する。] [0152] 反応温度、連結化合物濃度、溶媒及び/又はpHなどの反応条件は、標的ポリペプチドの官能基と連結化合物との効率的反応を可能にし、しかも、ポリペプチドをコードする核酸を、単離された分子をデコード(例えば配列決定)する、並びに/あるいは該分子を増幅させる(例えば、PCRにより、若しくはファージ増殖により、又はその他の好適な技法により)条件において選択すべきである。さらに、反応条件は、ファージコートタンパク質を、これがファージを増殖させることを可能にする条件にしておくものでなければならない。] [0153] ファージにコードされるポリペプチドのチオール基は、連結化合物との結合の前に、還元剤で還元することができる。こうした実施形態では、特にファージディスプレイ実施形態、又は特に還元剤がTCEPであるとき、過剰の還元剤を、好適には濾過、例えばファージの濾過により除去する。これは、本発明者らが、PEG/NaCl沈殿のような還元剤の除去のための慣用的方法では、恐らく標的ポリペプチドの還元された官能性側基の再酸化のために、連結化合物との最適以下の反応を生じる可能性があることを初めて開示することから、特に有利である。従って、ポリペプチドの還元された(従って反応性の)官能基の優れた保存を達成することは、標的ポリペプチドを、還元の後、濾過による精製(還元剤の除去)によって作製する実施形態の利点である。] [0154] 本発明において、コード化ポリペプチドを連結化合物に効率的に連結させると同時に、付加した核酸(及びファージコートタンパク質)を、その増幅又はデコードを可能にする条件において、反応条件を適用する。上記反応条件は、例えば、反応温度、連結化合物濃度、溶媒組成又はpHである。] [0155] 本発明の一実施形態では、ポリペプチドを分子コアに連結させるためにシステイン残基のチオール基を官能基として用いる。いくつかの化学反応の場合、ポリペプチドのチオール基は還元する必要がある。ファージディスプレイされるポリペプチドにおけるチオール基は、例えば、トリス(カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)のような還元剤の添加により効率的に還元する。過剰の還元剤は結合反応を妨害する可能性があるため、ファージの濾過により効率的にこれを除去する。] [0156] TCEPの除去後のチオール基の再酸化は、反応バッファーの脱気により防止するのが好適である。] [0157] また、チオール基の再酸化は、キレート化、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)によるキレート化による金属イオンの錯体形成により防止しても好適である。] [0158] 最も好適にはチオール基の再酸化は、キレート化及び脱気バッファーの使用の両方により防止又は阻止する。] [0159] 本発明の一実施形態では、ポリペプチドと連結化合物との結合は、ポリペプチドの反応基、例えばファージにコードされるポリペプチドのチオール基を連結化合物と1時間にわたり反応させることにより達成する。] [0160] 好適にはこれらを30℃で反応させる。] [0161] 好適にはこれらを濃度10μMの連結化合物(例えば、トリス(ブロモメチル)ベンゼン)と反応させる。] [0162] 好適には反応は水性バッファー中で行う。] [0163] 好適には反応はpH8で行う。] [0164] 好適には反応バッファーは、アセトニトリルを含む。好適には反応バッファーは、20%アセトニトリルを含む。] [0165] 最も好適には反応は、前記条件の2つ以上を特徴とする。好適には反応は、前記条件の3つ以上を特徴とする。好適には反応は、前記条件の4つ以上を特徴とする。好適には反応は、前記条件の5つ以上を特徴とする。好適には反応は、前記条件の6つ以上を特徴とする。好適には反応は、前記条件の各々を特徴とする。] [0166] 前記反応条件は、ポリペプチドのチオール基をトリス(ブロモメチル)ベンゼンの反応基と定量的に反応させるように最適化する。同じ反応条件下で、約20%のファージ粒子は、増幅及びデコードのために遺伝コードを細菌細胞に導入するように、依然として感染性のままである。] [0167] 一実施形態では、連結化合物、例えばTBMBと、標的ポリペプチド、例えばファージにコードされるポリペプチドとの結合は、20%アセトニトリルを含む水性バッファー(pH 8)中で、濃度10μMのTBMB(すなわちトリス(ブロモメチル)ベンゼン)で、ポリペプチドのチオール基を30℃で1時間にわたり反応(インキュベーション)させることにより実施することができる。] [0168] 本発明はまた、ファージ感染性に対する、反応物中の連結化合物の濃度の作用も開示する。特に、本発明は、好適には反応に用いる連結化合物の濃度を最小限にする。言い換えれば、常に十分な連結化合物がファージのポリペプチドと連結した状態になるのであれば、ファージのポリペプチドとの反応時に用いる連結化合物の濃度は低ければ低いほどよい。この方法において存在する連結化合物を最小限にする利点は、連結化合物の連結後のファージ感染性の優れた保存である。例えば、連結化合物がTBMBであるとき、連結化合物の濃度が100μMを超えると、感染性を損なう可能性がある。従って、好適には連結化合物がTBMBである場合、ポリペプチドとの結合時に存在するTBMBの濃度は100μMより低いのが好適である。最も好適には上記濃度は実施例の節に開示する通りである。] [0169] 結合後修飾 いくつかの実施形態では、ポリペプチド−連結化合物複合体は、結合後の時点で修飾することができる。] [0170] いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチド要素は、連結化合物/分子コアに結合した後、タンパク質分解により切断される。切断により、連結化合物/分子コアに結合した異なるペプチド断片を有するリガンドが生成される。] [0171] 例えば、ポリペプチドと分子コアの結合後、ポリペプチドの1以上のアミド結合をタンパク質分解により切断することができる。これは、短いポリペプチドを形成する利点を有し、その各々は、少なくとも1つの共有結合により連結化合物に結合しているが、異なる分子構造を呈示し、これらは、親ポリペプチドをコードする核酸を含む複合体中に保持される。ポリペプチドの切断は、好適には当分野で公知のあらゆる好適な手段、例えば制御加水分解、又はさらに好適には適切なプロテアーゼによる酵素切断によって触媒する。プロテアーゼは、任意の好適なプロテアーゼでよいが、好ましくは特定のポリペプチド認識配列又はモチーフを含むプロテアーゼである。これは、より限定的及び/又はより推定可能なポリペプチド切断生成物の作製を有利に達成する。実際に、上記実施形態では、プロテアーゼ認識配列は、例えば標的ポリペプチドをコードする核酸の操作により、体系的に付加したり、又は標的ポリペプチドから除去したりすることができる。これは、有利なことに、本発明に従いディスプレイされる分子において、より高度な制御をもたらし、しかも、より高度の多様性を達成することを可能にする。最も好適にはポリペプチドは、少なくとも1つのプロテアーゼ認識部位を含む。好適には各切断部位は、連結化合物との共有結合に用いられる、ポリペプチド上の官能基同士の間のアミノ酸配列内に含まれる。好適には各認識部位は、連結化合物との共有結合に用いられる、ポリペプチド上の官能基同士の間のアミノ酸配列内に含まれる。] [0172] ペプチドループは、好適には特定のアミノ酸位置でポリペプチドを認識してプロセシングするプロテアーゼ、例えばトリプシン(P1位置のアルギニン若しくはリシン)又はサーモリシン(P1位置の脂肪族側鎖)で切断される。酵素は、ディスプレイされる分子のペプチドループの効率的なプロセシングを可能にするが、ファージ粒子は残しておく濃度で用いる。最適な条件は、ポリペプチドループの長さ及び用いるプロテアーゼに応じて変化しうる。例えばトリプシンは一般に、TBS-Caバッファー(25 mM Tris HCl/137 mM NaCl/1 mM CaCl2、pH 7.4)中200 nMで、10℃で10分にわたり用いる。ディスプレイされるポリペプチドを修飾するのに適しているが、ファージは残す全種類のプロテアーゼがKristensen, P.及びWinter, G.(Proteolytic selection for protein folding using filamentous bacteriophages Fold Des. 1998;3(5):321-8)に記載されている。ファージ上のペプチドの酵素プロセシングは「部分的タンパク質分解」となる場合もある。というのは、限られた数のファージコートタンパク質が切断されるのを除外することができないからである。従って、条件の最適化では、標的の最大限の切断と、ファージ粒子の最大限の保存との間の最良の均衡を好適に選択する。] [0173] 好適には標的ポリペプチドは、少なくとも1つの上記タンパク質分解切断部位を含む。] [0174] 好適には標的ポリペプチドは、少なくとも2つの上記タンパク質分解切断部位を含む。] [0175] 好適には標的ポリペプチドは、少なくとも3つの上記タンパク質分解切断部位を含む。] [0176] 前記タンパク質分解の実施形態の各々において、好適には第1プロテアーゼ部位は、標的ポリペプチドと連結化合物の間の第1共有結合に対し遠位に存在する。これは、連結化合物が複合体に保持されるという利点を有する。というのは、標識ポリペプチドが第1共有結合の前で切断されると、ポリペプチド−連結化合物複合体は、標的ポリペプチドをコードする核酸から分離されてしまうが、これは本発明の大部分の用途に望ましくないからである。] [0177] 短いループ(短いとは、例えば6以下のアミノ酸残基を指す)の使用は、ループ内で切断するいくつかのプロテアーゼの能力を損なう可能性がある。この場合、プロテアーゼに接触する可能性が高い、より長いループを選択することが望ましいこともある。さらに、エンドプロテアーゼによるループの切断後に、別のエンドプロテアーゼで、あるいは実際にはエキソプロテアーゼ、例えばカルボキシペプチダーゼ又はアミノペプチダーゼにより上記ループを切断しなおすのが望ましいこともある。] [0178] 標的ポリペプチドが1以上のプロテアーゼ部位を含む場合、好適には部位の各々は、標的ポリペプチドと連結化合物との間に形成される2つの共有結合の間に存在する。必要であれば、結合同士の間に複数の切断部位が存在してもよい。] [0179] 切断の実施形態では、好適には親ポリペプチドは、少なくとも3つの共有結合により連結化合物に結合しているか否かの評価のための完全体として考えられる。より好適には標的ポリペプチドは、それが少なくとも3つの共有結合により連結化合物に結合しているか否かを評価するとき、インタクトな(非切断)ポリペプチドであるとみなされる。このような非切断ポリペプチドは、典型的に二環式である。] [0180] 合成 目的のポリペプチドを本発明に従い単離又は同定した後、可能な場合はいつでも、その後の合成を単純化することができることに留意すべきである。例えば、目的の配列を決定することができ、また標準的技法による合成で製造した後、in vitroでの連結化合物との反応を実施することができる。これを実施する場合、遺伝的にコード化された担体粒子の機能性又は完全性を保存する必要はもはやないため、標準的化学を用いてもよい。これにより、さらに下流の実験又は確認のための可溶性材料の高速大規模製造が可能になる。これに関して、候補又はリード材料の大規模製造は、Meloen及びTimbermanに開示されているような慣用的化学を用いて達成することができる。] [0181] 従って、本発明はまた、本明細書に記載のように選択したポリペプチド又はコンジュゲートの製造であって、以下に説明するように任意の別のステップを含む、上記製造にも関する。最も好適には上記ステップは、ファージではなく、化学合成により製造された最終生成物ポリペプチド/コンジュゲートについて実施する。] [0182] 任意で、例えば初期単離/同定ステップ後にコンジュゲート又は複合体を製造する場合には、目的のポリペプチド中のアミノ酸残基を置換してもよい。] [0183] 記載される修飾/付加を説明するために、受容体と反応するポリペプチドの選択の例を考慮することは有用である。N-末端又はC-末端でペプチドを伸長するのが望ましいこともある。これは、例えば第2の標的に結合する線状尾部などの尾部を有する、1標的に結合する大環状ペプチドを製造する上で有用であると考えられ、このようなペプチドとして例えば以下のものがある:細胞貫通ペプチド(例:例えばVP22、HIV-Tatなどに由来するもの)、ショウジョウバエのホメオボックスタンパク質(アンテナペディア)若しくは化学的に設計されたタンパク質(例:ポリアルギニン)、又は例えば(Chen及びHarrison Biochemical Society Transactions (2007) Volume 35, part 4、p821 "Cell-penetrating peptides in drug development: enabling intracellular targets")に記載されているその他のペプチド。これは、特定の標的、例えば細胞内標的に対して選択された大環状分子が細胞に進入するのを補助する又は可能にするという利点を有する。] [0184] ペプチドを伸長するために、標準的固相又は液相化学を用いて、該ペプチドのN-末端又はC-末端で該ペプチドを化学的に簡単に伸長することができる。標準的タンパク質化学を用いて、活性化可能なN-末端又はC-末端を導入してもよい。あるいは、断片縮合若しくはネイティブ化学ライゲーションにより、例えば(Dawson PE, Muir TW, Clark-Lewis I, Kent, SBH. 1994. Synthesis of Proteins by Native Chemical Ligation. Science 266:776-77)に記載のように、又は酵素により、例えば(Subtiligase: a tool for semisynthesis of proteins Chang TK, Jackson DY, Burnier JP, Wells JA Proc Natl Acad Sci U S A. 1994 Dec 20;91(26):12544-8若しくはBioorganic & Medicinal Chemistry Letters Tags for labeling protein N-termini with subtiligase for proteomics Volume 18, Issue 22, 15 November 2008, Pages 6000-6003 Tags for labeling protein N-termini with subtiligase for proteomics Hikari A.I. Yoshihara, Sami Mahrus and James A. Wells)に記載のようにサブチリガーゼを用いて、付加を実施することも可能である。] [0185] あるいは、ジスルフィド結合を介したさらなるコンジュゲーションによりペプチドを伸長又は修飾してもよい。これには、第1ペプチド及び第2ペプチドが、細胞の還元環境内で互いから1回解離するのを可能にするという別の利点もある。この場合、連結化合物(例えば、TBMB)は、3つのシステイン基と反応するように、第1ペプチドの化学合成中に付加することができ、次に別のシステインを第1ペプチドのN-末端に付加することにより、該システインが第2ペプチドの遊離システインとしか反応しないようにすることができる。] [0186] 類似の技法を2つの二環式大環状分子の合成/連結に同様に適用する。] [0187] さらには、同じ方法で、適切な化学を用いて、N-末端若しくはC-末端での連結により、又は側鎖を介して別の薬物の付加も達成することができる。好適には連結は、いずれの物質の活性もブロッキングしないような方法で実施する。] [0188] 従って、本発明はさらに、ポリペプチドのN-末端又はC-末端の1以上で該ポリペプチドを伸長するステップをさらに含む、前述の方法に関する。] [0189] 従って、本発明はさらに、前記複合体又は前記ポリペプチド−連結化合物コンジュゲートを別のポリペプチドにコンジュゲートするステップをさらに含む、前述の方法に関する。] [0190] 従って、本発明はさらに、前記コンジュゲーションが、以下のステップ: (i)前記連結化合物との結合後、前記ポリペプチドに別のシステインを付加するステップ、及び (ii)別のシステインとのジスルフィルド結合により、前記ポリペプチドを別のポリペプチドにコンジュゲートするステップ により実施される、前述の方法に関する。] [0191] 遺伝的にコード化される多様性 目的のポリペプチドは好適には遺伝的にコード化される。これにより、多様性の増大と共に、取り扱いやすさの利点がもたらされる。遺伝的にコード化されたポリペプチドライブラリーの一例は、mRNAディスプレイライブラリーである。別の例は、複製可能な遺伝子ディスプレイパッケージ(rgdp)ライブラリー、例えばファージディスプレイライブラリーである。好適には、目的のポリペプチドは、一般にファージディスプレイライブラリーとして遺伝的にコード化される。] [0192] 従って、好適には本発明の複合体は、複製可能な遺伝子ディスプレイパッケージ(rgdp)、例えばファージ粒子を含む。上記実施形態では、好適には核酸はファージゲノムに含まれる。上記実施形態では、好適にはポリペプチドはファージコートに含まれる。] [0193] いくつかの実施形態では、本発明を用いて、遺伝的にコード化されたポリペプチドのコンビナトリアルライブラリーを製造することができ、該ポリペプチドは、いくつかの核酸を対応するポリペプチドに翻訳して、連結化合物の分子を該ポリペプチドに連結させることにより作製される。] [0194] 遺伝的にコード化されたポリペプチドのコンビナトリアルライブラリーは、ファージディスプレイ、酵母ディスプレイ、リボソームディスプレイ、細菌ディスプレイ又はmRNAディスプレイにより作製することができる。] [0195] 好適には遺伝的にコード化されたポリペプチドのコンビナトリアルライブラリーは、ファージディスプレイにより作製する。ファージディスプレイの実施形態では、好適には以下に記載する確立された方法に従いポリペプチドをファージ上にディスプレイする。最も好適にはこうしたディスプレイは、目的の標的ポリペプチドと、目的のポリペプチドの外部ディスプレイを可能にする操作遺伝子との融合により達成し、好適には上記操作遺伝子は、ファージの操作遺伝子9(p9すなわち遺伝子IX)、遺伝子8(遺伝子VIII)、遺伝子7(p7すなわち遺伝子VII)、遺伝子6(p6すなわち遺伝子VI)又は遺伝子3(p3すなわち遺伝子III)を含む。上記タンパク質は、連結化合物、例えばTBMBと反応する可能性があるシステインの含有数が少ないか、又は全く含まないという利点を提供する。p6の場合、システイン84をセリンに突然変異させるのが有利である。p7及びp9のシステインは恐らく埋没しているため、必ずしも突然変異させて除去する必要はない。p8はシステイン残基を含まないという利点を提供する。従って、さらに好適には前記操作遺伝子は、ファージの操作遺伝子8(遺伝子VIII)、遺伝子6(遺伝子VI)又は遺伝子3(遺伝子III)を含む。] [0196] 最も好適には上記ディスプレイは、目的の標的ポリペプチドと、ドメイン1及びドメイン2のシステイン残基を欠失する操作遺伝子3タンパク質との融合により達成される。上記融合は、当分野で公知の任意の好適な方法、例えばファージ遺伝子IIIタンパク質をコードする核酸を操作して、システインをコードするコドンを、別のアミノ酸をコードするコドンに変更することにより、そして標的ポリペプチドをコードする核酸配列を、フレーム内の遺伝子IIIコード配列に挿入して、該ポリペプチドがファージ粒子の外部に遺伝子III融合タンパク質としてディスプレイされるようにすることにより、達成することができる。] [0197] 得られる操作遺伝子がファージを感染性にする、すなわち感染及び増殖が可能にしておくことは本発明の利点である。操作された遺伝子が遺伝子3以外の遺伝子(例えば遺伝子6又は遺伝子8)であるときでも、やはり遺伝子3を操作して、1以上のシステイン残基(例えば全てのシステイン残基)を除去するのが望ましいこともある。] [0198] 好ましい実施形態では、本発明の遺伝的コード化ポリペプチドは、核酸を翻訳した後、作製したポリペプチドを前記コードと関連付けることにより作製する。表現型と遺伝子型の連結により、コード化されたリガンドレパートリーを増幅又はデコードすることが可能になる。ポリペプチドをそのポリヌクレオチドコードと関連付けるために、様々な方法が利用可能である。こうした技法として、ファージディスプレイ、リボソームディスプレイ、mRNAディスプレイ、酵母ディスプレイ及び細菌ディスプレイなどがある。1013までの個別メンバーを含む、コード化されたポリペプチドレパートリーが前記の方法で作製されている。本発明に従い作製することができる個別リガンドの数は、慣用的スクリーニングで一般にアッセイされる個別分子の数を明らかに上回っている。] [0199] 好ましい実施形態では、ファージディスプレイ技術を用いて、本発明のポリペプチドを遺伝的にコードする。ファージディスプレイは、ポリペプチドの遺伝子をファージコートタンパク質の遺伝子に融合させる方法である。ファージを細菌細胞において作製する場合には、ポリペプチドをコートタンパク質の融合物として発現させる。ファージ粒子の集合時に、ポリペプチドがファージの表面上にディスプレイされる。ファージレパートリーを固定化抗原と接触させると、いくつかのファージは抗原に結合したまま残るが、他のファージは洗浄により洗い流される。ファージを溶離して、増殖させることができる。選択したファージのポリペプチドをコードするDNAを配列決定する。ファージディスプレイを用いて、1010を超える個別ポリペプチドをコードすることができる。ファージディスプレイの好ましい態様は、遺伝コードである一本鎖DNAをコート内にパッキングすることである。上記コートは、分子コアとの反応からDNAを保護することができる。] [0200] 別の好ましい実施形態では、本発明のポリペプチドライブラリーを遺伝子3タンパク質融合物としてファージ上にディスプレイする。各ファージ粒子は上記ファージコートタンパク質の約3〜5コピーを有する。修飾ポリペプチドの複数コピーのディスプレイの結果、マイクロモル程度の親和性を有するリガンド(弱いバインダー)もファージ選択において単離することができる。あるいは、ファージミドを用いて、ファージ当たりのポリペプチドの数を減少させることにより、結合活性作用を回避して、より高度の親和性を有するリガンドを選択する。] [0201] 別の好ましい実施形態では、修飾コートタンパク質を含むファージを、本発明のポリペプチドライブラリーをコードするために用いる。特に、コートタンパク質において特定タイプのアミノ酸が欠失した又はその数が少ないファージを用いる。上記コートタンパク質は、分子コアが上記特定タイプのアミノ酸に対して反応性であるとき、有利となる可能性がある。これは、分子コアを架橋するための、ディスプレイされるポリペプチドの官能基が天然アミノ酸であり、同じタイプの天然アミノ酸がファージコートの表面露出領域に存在する場合に明確とである。修飾コートタンパク質を含む上記ファージを使用すれば、複数ファージのアミノ酸と上記分子コアとの反応によるファージ粒子の架橋を防止することができる。さらに、上記ファージを用いることにより、ポリペプチド中の官能基及びファージコートタンパク質のアミノ酸側鎖の両者と、上記分子コアとの架橋を低減することもできる。] [0202] さらに別の好ましい実施形態では、ドメイン1及びドメイン2におけるジスルフィド架橋C7-C36、C46-C53、C188-C201のシステイン残基を欠失する遺伝子3タンパク質を含むファージを用いて、本発明のポリペプチドライブラリーをディスプレイする。上記位置(C7C、C36I、C46I、C53V、C188V、C201A)における突然変異と、低下した熱安定性を補償するための遺伝子3タンパク質における14の追加突然変異(T13I、N15G、R29W、N39K、G55A、T56I、I60V、T101I、Q129H、N138G、L198P、F199L、S207L、D209Y)を含むファージが、Schmidt F. X.らにより作製された(Kather, I.ら、J. Mol. Biol., 2005)。ポリペプチドと分子コアを架橋するための官能アミノ酸の1以上がシステイン残基であれば、前記副次的コートタンパク質においてチオール基を含まないファージが適している。ファージコートタンパク質におけるシステイン残基の除去により、ポリペプチドと連結化合物との結合反応に対するシステイン残基の妨害を防止する。] [0203] 本発明に適用するための上記ファージ例について以下にさらに詳しく説明する。] [0204] FX Schmidのジスフィルド不含ファージ(ドメインD1-D2)は、ベクターfCKCBS(Krebber, C., 1997, J. Mol. Biol.)由来のfdファージを含む。ベクターfCKCBSは、アメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection)(ATCC: 15669-B2)から取得したfdファージベクターに基づく。] [0205] 野生型fdファージのp3のドメイン1及びドメイン2のアミノ酸配列は、例えばPubMedデータベースにおいて一般に入手可能である。参照のために、配列例を以下に挙げる: AETVESCLAKPHTENSFTNVWKDDKTLDRYANYEGCLWNATGVVVCTGDETQCYGTWVPIGLA IPENEGGGSEGGGSEGGGSEGGGTKPPEYGDTPIPGYTYINPLDGTYPPGTEQNPANPNPSLEES QPLNTFMFQNNRFRNRQGALTVYTGTVTQGTDPVKTYYQYTPVSSKAMYDAYWNGKFRDCAF HSGFNEDPFVCEYQGQSSDLPQPPVNAPSG。] [0206] FX Schmidらは、4つのアミノ酸を突然変異させることにより、前記ファージのp3を進化的に安定化させた(Martin, A.及びSchmid, FX., 2003, J. Mol. Biol.)。これに続く研究で、FX Schmidらは、6つのシステインを突然変異させて、3つのジスルフィド架橋を除去した後、別の突然変異を挿入することにより、安定性の損失を補償した(Kather, I.及びSchmid FX., 2005, J. Mol. Biol.)。複数の進化サイクルにおいて、クローン19、20、21、及び23を作製し、これらはすべてジスフィルド不含のp3を有し、その熱安定性は異なっている。] [0207] 実施例の節でさらに詳しく説明するように、突然変異体21(「クローン21」)は記載のように作製することもできるし、又はFX Schmidらから簡単に取得することができる。FX Schmidの文献によれば、上記クローンは、ドメイン1及びドメイン2に以下の突然変異を含む:C7S、T13I、N15G、R29W、C36I、N39K、C46I、C53V、G55A、T101I、Q129H、C188V、F199L、C201A、D209Y。さらに、本発明者らは、上記クローンを配列決定し、それを野生型fdファージと比較したとき、ドメイン1及びドメイン2に突然変異:P11S及びP198Lを見出した。理論に束縛されるわけではないが、上記突然変異は、ベクターfCKCBSのファージにすでに存在していたと想定される。] [0208] クローン21のドメインD1及びドメインD2は、以下のアミノ酸配列を有する: AETVESSLAKSHIEGSFTNVWKDDKTLDWYANYEGILWKATGVVVITGDETQVYATWVPIGLA IPENEGGGSEGGGSEGGGSEGGGTKPPEYGDTPIPGYIYINPLDGTYPPGTEQNPANPNPSLEES HPLNTFMFQNNRFRNRQGALTVYTGTVTQGTDPVKTYYQYTPVSSKAMYDAYWNGKFRDVAF HSGFNEDLLVAEYQGQSSYLPQPPVNAPSG。] [0209] 本発明はまた、本発明に従い作製したライブラリーに関する。] [0210] 本発明は、本発明の複合体に対する分子若しくは物質の結合(又は結合への影響)についてのスクリーニングに適用することができる。本発明の複合体の一例は、連結化合物が結合した標的ポリペプチドである。当業者は、任意の慣用的スクリーニング形式を採用することができる。用いる具体的形式は、技術者の目的に応じて変わりうる。例えば、ハイスループットスクリーニングが所望の場合には、高密度で、高速の転換及び操作の簡易性が最も重要であろう。典型的にはファージパニング、mRNAディスプレイなどのような技法を、それらが当分野で適用されているように、本発明に適用することができる。本発明の重要な利点は、目的のポリペプチドに対する連結化合物の三重共有結合であり、得られる複合体をスクリーニングする具体的形式(あるいは別の相互作用の候補モジュレーターとしての、又は別のスクリーニングにおける、該複合体の使用)は、本発明を実施する者の選択の問題である。] [0211] 一実施形態では、スクリーニングは、本発明のライブラリーを標的リガンドと接触させた後、該リガンドに結合する1以上のライブラリーメンバーを単離することにより実施する。] [0212] 別の実施形態では、前記ライブラリーの個々のメンバーをスクリーニングにおいて標的リガンドと接触させた後、該標的リガンドに結合するライブラリーのメンバーを同定する。] [0213] 別の実施形態では、前記ライブラリーのメンバーを同時に標的リガンドと接触させた後、該標的リガンドに結合するライブラリーのメンバーを選択する。] [0214] 標的リガンドは、ペプチド、タンパク質、多糖、脂質、DNA又はRNAとすることができる。] [0215] 標的リガンドは、受容体、受容体リガンド、酵素、ホルモン又はサイトカインなどである。] [0216] 標的リガンドは、原核生物タンパク質、真核生物タンパク質、又は古細菌タンパク質でよい。より具体的には、標的リガンドは、哺乳動物タンパク質又は昆虫タンパク質又は細菌タンパク質又は真菌タンパク質又はウイルスタンパク質でよい。] [0217] 標的リガンドは、酵素、例えばプロテアーゼとすることができる。より具体的には、標的リガンドは、エラスターゼ、血漿カリクレイン、カテプシンG又はウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子でよい。] [0218] 本発明はまた、本発明に従いスクリーニングから単離されるライブラリーメンバーも包含することに留意すべきである。好適には本発明のスクリーニング方法は、本発明の複合体に結合することができるものとして単離されるある量のリガンドを製造するステップをさらに含む。スクリーニングを反対の形式で実施する場合(すなわち、本発明の複合体を、用意したリガンドに結合する能力により同定するとき)、好適には本発明のスクリーニング方法は、上記リガンドに結合することができるものとして単離されるある量の本発明の複合体を製造するステップをさらに含む。] [0219] 本発明はまた、本発明に従いスクリーニングにより単離される、又は単離することができるライブラリーメンバーにも関し、上記メンバーは後に、本発明の複合体の一部として上記ポリペプチドをコードした核酸をそれ以上用いることなく、作製/製造される。例えば、好適な本発明の方法は、連結化合物をポリペプチドに結合させることによって、本発明の方法により単離又は同定されるある量のポリペプチドを製造する別のステップをさらに含み、上記ポリペプチドは、組換えにより発現されるか、又は化学的に合成される。例えば、上記実施形態でポリペプチドを組換えにより合成する場合には、本発明の複合体の一部としての、上記ポリペプチドを本来コードする核酸はもはや直接存在しないが、中間ステップ、例えば、複合体の本来の核酸のPCR増幅又はクローニングステップには存在していたと考えられ、これにより、ポリペプチドを追加ステップにおいて合成することができる鋳型核酸の作製が達成される。] [0220] さらなる利点 複合体自体が増幅可能であることは本発明の利点である。従って、本発明の複合体又はライブラリーは、増幅−選択−(所望であれば反復して)−濃縮することができる。これは、単一ラウンドの選択後にデコンボリューション(deconvoluted)する必要がある従来の技法とは対照的である。] [0221] 本発明は、有利なことに、非常に大きなライブラリーを構築し、スクリーニングすることを可能にする。] [0222] 好適には連結化合物は可変性又は剛性のいずれでもよく、さらに好適には連結化合物は剛性である。これは、生成物分子に対する分子制約が大きくなるという利点を有する。] [0223] いくつかの実施形態において、連結化合物は、3以上の結合で分子を保持することにより該分子を制約するだけでなく、スカフォールドとして作用することによっても保持する。ペプチドのアミノ酸は、スカフォールドと相互作用して、密な構造を形成することができる。この現象は、CDRのアミノ酸がスカフォールドのアミノ酸と相互作用する抗生物質にも見出されることがある。従って、本発明は、コンジュゲートしたポリペプチド、例えばファージ粒子に含まれるものに上記の有利な特徴を初めて賦与するものである。] [0224] いくつかの実施形態では、対称形状を有する連結化合物を用いる。これは、生成物混合物(例えば異性体)ではなく、単一生成物が得られるという利点を有する。] [0225] 少なくとも3つの共有結合を介して連結化合物をペプチドに連結させるために合成反応が確立されている。従来の化学反応条件を、遺伝的にコード化されたペプチドに容易に適用することはできない。本発明者らは、感染性を有利に保存しながら、コンジュゲーションに適用することができる一組の具体的条件を開示する。] [0226] 特に、ペプチド+化学物質(すなわちペプチド+連結化合物)の組み合わせについて、直接の読み取りが得られることは本発明の利点である。] [0227] 増幅させやすい合成化学ライブラリーを創出することは本発明の利点である。言い換えれば、従来の技術では、目的の小分子を増幅/読み取ることは不可能な方法で化学ライブラリーを創出していた。すなわち、この方法では、核酸が従来の化学ライブラリーに存在していたとしても、成長/増幅は可能ではなく、ハイブリダイゼーション又は他の同様の技術しか可能ではなかった。] [0228] 同様の利点は、本明細書に記載の方法、例えば、連結化合物をポリペプチドに連結させるのに用いる化学的条件からも得られ、上記条件は、有利にも、複合体がファージ粒子を含む場合、複合体の感染性を保存する。] [0229] さらなる用途 本発明はまた、分子コアに結合したポリペプチドを含む遺伝的にコード化されたコンビナトリアル化学ライブラリーを作製する方法であって、(a)分子コアとの共有結合を形成することができる官能基を含むポリペプチドの遺伝的にコード化されたライブラリーを作製するステップ、(b)少なくとも3つの共有結合により上記ライブラリーを上記コアに化学的に連結させるステップを含む、上記方法も提供する。] [0230] 広義の態様では、本発明は、該ポリペプチドに結合した連結化合物を含むポリペプチドであって、該連結化合物が、少なくとも3つの異なる共有結合により上記ポリペプチドに結合している、上記ポリペプチドに関する。特に、本発明は、本発明の方法により取得可能であるか、又は取得される上記ポリペプチドに関する。] [0231] 本発明はまた、薬物又は薬物標的として用いるためのペプチド模倣物又は小分子模倣物の設計及び/又は選択にも適用することができる。] [0232] 本発明はまた、遺伝的にコード化されたコンビナトリアル化学ライブラリーを作製する方法及びそのリガンドを単離する方法も提供する。] [0233] 本発明は、DNA配列決定からの標的ヒットの同定、及び該標的ヒットのペプチドにおける共通配列の同定、並びにその後の上記ペプチドの合成に適用することができる。例えば、共通ペプチドは、この分析により設計することができ、該共通ペプチドは、スクリーニング段階から回収したヒットのいずれかと必ずしも同一ではないアミノ酸配列を含んでもよく、その後この共通ペプチドを本発明に従い合成することができる。] [0234] 前記複合体はファージ粒子を含んでいてもよい。] [0235] 従って、遺伝的にコード化されたコンビナトリアル化学ライブラリーを作製する方法であって、上記ライブラリーが、少なくとも3つの共有結合により分子コアに結合しているポリペプチドを含む、上記方法が提供される。また、前記方法で作製されるライブラリーも提供される。さらに、前記ライブラリーを標的リガンドと接触させて、該リガンドに結合するメンバーを単離する方法が提供され、該方法で作製されるライブラリーメンバーも同様に提供される。] [0236] WO 2004/077062及びWO 2006/078161の公知の方法とははっきりと対照的に、本発明は複合体の大きなライブラリーの作製及びアッセイのための方法を提供する。WO 2004/077062及びWO 2004/077062によれば、数百又は数千の化合物を作製及びスクリーニングする公知の方法が提供されている。本発明は、化合物ライブラリーを遺伝的にコードするための方法を提供する。これにより、数百万、数十億以上の個別化合物を作製して、アッセイすることができる。]
权利要求:
請求項1 ファージ粒子を含む複合体であって、(i)ポリペプチド、(ii)(i)のポリペプチドをコードする核酸、(iii)上記ポリペプチドに結合した連結化合物を含み、上記連結化合物は、少なくとも3つの異なる共有結合により上記ポリペプチドに結合している、上記複合体。 請求項2 前記連結化合物が、それがポリペプチドに結合する共有結合の数に対応する分子対称を有する、請求項1に記載の複合体。 請求項3 前記連結化合物が、3回分子対称を有し、該連結化合物は、3つの共有結合により前記ポリペプチドに結合している、請求項2に記載の複合体。 請求項4 前記連結化合物が、構造的に剛性の化学基を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の複合体。 請求項5 前記連結化合物が、トリス-(ブロモメチル)ベンゼン(TBMB)を含む、請求項4に記載の複合体。 請求項6 前記ポリペプチドがシステイン残基を含み、該ポリペプチドと前記連結化合物の結合のための3つの異なる共有結合の少なくとも1つが、上記システイン残基との結合を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の複合体。 請求項7 請求項1〜6のいずれかに記載の少なくとも2つの異なる複合体を含む、遺伝的にコード化されたポリペプチドライブラリー。 請求項8 複合体を作製する方法であって、以下のステップ:(i)ポリペプチドを含むファージ粒子を用意するステップ、(ii)連結化合物を用意するステップ、(iii)上記連結化合物とポリペプチドとの間での少なくとも3つの共有結合の形成により、上記連結化合物を上記ポリペプチドに結合させるステップを含む、上記方法。 請求項9 前記ポリペプチドの反応基を還元し、ステップ(iii)の前に、還元反応基を含むポリペプチドを濾過により精製する、請求項8に記載の方法。 請求項10 前記濾過精製ステップの後、前記連結化合物との結合のために、脱気バッファー中、キレート剤の存在下でのインキュベーションにより、前記ポリペプチドを還元状態に維持する、請求項9に記載の方法。 請求項11 ステップ(iii)が、アセトニトリルを含む水性バッファーにおいて、前記ポリペプチドと連結化合物を一緒に30℃にてpH8でインキュベートすることを含む、請求項8〜10のいずれかに記載の方法。 請求項12 前記連結化合物が、トリス-(ブロモメチル)ベンゼン(TBMB)を含む、請求項8〜11のいずれかに記載の方法。 請求項13 前記トリス-(ブロモメチル)ベンゼンが、10μmで存在する、請求項12に記載の方法。 請求項14 前記キレート剤が、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)であり、前記アセトニトリルが、20%で存在し、また、前記インキュベーションステップ(iii)を1時間にわたり実施する、請求項13に記載の方法。 請求項15 前記ポリペプチド鎖の1以上の結合を切断するさらなるステップ(iv)を含む、請求項8〜14のいずれかに記載の方法。 請求項16 前記切断ステップが、前記ポリペプチドをプロテアーゼに接触させることを含む、請求項15に記載の方法。 請求項17 請求項8〜16のいずれかに記載の方法により得られる複合体。 請求項18 リガンドに結合することができる、請求項1〜17のいずれかに記載の複合体を同定する方法であって、以下のステップ:(i)請求項1〜17のいずれかに記載の複合体を用意するステップ、(ii)上記複合体をリガンドと接触させるステップ、(iii)上記リガンドと結合する複合体を選択するステップを含む、上記方法。 請求項19 前記複合体の核酸の配列を決定するステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。 請求項20 前記リガンドに結合することができるものとして単離されるある量の複合体を製造するステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。 請求項21 本発明の方法により単離又は同定されるある量のポリペプチド-連結化合物コンジュゲートを製造するステップをさらに含み、該製造ステップが、上記連結化合物をポリペプチドに結合させることを含み、上記ポリペプチドは、組換えにより発現されるか又は化学的に合成されたものである、請求項18に記載の方法。 請求項22 前記ポリペプチドのN-末端又はC-末端の1以上で、該ポリペプチドを伸長するステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。 請求項23 前記ポリペプチド−連結化合物コンジュゲートを別のポリペプチドに結合させるステップをさらに含む、請求項21又は22のいずれかに記載の方法。 請求項24 前記コンジュゲートが、以下のステップ:(i)連結化合物との結合後、前記ポリペプチドに別のシステインを付加するステップ、及び(ii)別のシステインとのジスルフィルド結合により、前記ポリペプチドを該別のポリペプチドにコンジュゲートさせるステップにより実施される、請求項23に記載の方法。 請求項25 (i)少なくとも2つのポリペプチド分子、及び(ii)少なくとも1つの連結化合物分子を含むコンジュゲートであって、上記少なくとも2つのポリペプチド分子の各々が、少なくとも1つの共有結合により、上記連結化合物分子に結合している、上記コンジュゲート。 請求項26 前記コンジュゲートが少なくとも3つのポリペプチド分子を含み、前記少なくとも3つのポリペプチド分子の各々が、少なくとも1つの共有結合により、上記連結化合物分子に結合している、請求項25に記載のコンジュゲート。 請求項27 前記連結化合物が、トリス-(ブロモメチル)ベンゼン(TBMB)を含む、請求項25又は請求項26に記載のコンジュゲート。 請求項28 前記コンジュゲートが、請求項15又は請求項16に記載の方法により得られる、請求項25〜27のいずれかに記載のコンジュゲート。
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